まずリンク。
Kindleのセールでたまたま目にし、高い評価のレビューを眺めている中で、「発達障害の人にも起こりうるパターンなのでは」という記載を目にする。
発達障害は個人的に身近な問題でもあり、興味を持って購入した次第。
著者の語る「フリーズする脳」というのは、現代生活のパターン化された環境下に長く置かれることで、複雑な思考(分析、判断、系列化)ができなくなっている状態を言い、痴呆とかアルツハイマーとかではない。
無重力状態が長過ぎて筋力が衰えてしまったようなものなので、そういう環境下であれば、年齢に関わらずフリーズしてしまうようである。
いくつか症例が紹介されるのであるが、毎日決まった顧客と決まった仕事をし、外界からの刺激もなく会社と家の往復をし続ける生活の果てに、複数の登場人物でなされる会話についていけなくなる若者のエピソードなどは、なかなかに衝撃的である。
他の症例で語られるのだが、フリーズした状態というのは、脳機能と身体の連動性が失われていくものらしく、極端に視線移動と会話中の身振りが少なくなってしまうようである。
厄介なのは、そういう環境下に入ると症状が加速してしまうこと。
年齢によってはそのまま痴呆へ、となってしまうのがまた恐ろしい。
もう一つ厄介だなと感じたのは、フリーズの症状というのは、アルツハイマーのようでもあるが、鬱の症状のようでもあり、冒頭述べたレビューの通り発達障害のようでもあることだ。
特定環境下に長く置かれたことによる思考の衰え(=フリーズ)なのに、何かおかしいと思って鬱や発達障害の診断を受けたら陽性(?)と判断されてしまうことがあるのではないだろうか。
しかしこれ、環境を変えれば時間はかかるが治ることが出来るようだ。
パソコンやスマホ頼みにならず、新しいことに挑戦し、自然や芸術に親しみ、人と深いつながりを持つ、ということで良く、要は人間らしい生活を送れということなのだが、その環境を取り戻すことで、複雑な思考力は取り戻せる。
昨日の本は狩猟採集生活だったが、いやはや、現代というのはここまで「非人間的」ということか。
例え自覚症状は無くても、現代に生きる人みんなに一読を勧めたい。
ちなみに本書の初版は10年以上前だが、適宜加筆されているようなので、古さを感じることはない。
まぁ、ご参考ということで。