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あのお店はなぜ消耗戦を抜け出せたのか ネット時代の老舗に学ぶ「戦わないマーケティング」
- 作者: 仲山進也
- 出版社/メーカー: 宣伝会議
- 発売日: 2015/08/20
- メディア: Kindle版
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いやー、面白かった。
楽天の創業メンバーである筆者が、独自の戦略で勝ち残ったネットショップの事例を引き合いにしつつ、タイトルの通りどのように消耗戦から抜け出すのか、について解説した一冊。
紹介されるショップの中には、こちらで取り上げた「よなよなエール」も登場する。
ネットショップにおいては、顧客の購買行動には「欲求の壁」と「比較の壁」が存在すると筆者は説く。
第一の「欲求の壁」は「欲しいと思うかどうかの壁」であり、第二の「比較の壁」は「あまたある競合や代替手段の中で勝ち残るために乗り越える壁」である。
ものすごく単純に表現すると、抜け出せたお店は、「欲しい」と思わせる努力に力を注ぐために、「比較の壁」が問題にならないのだが、消耗戦にあるお店は、「欲しい」と思っている顧客にアプローチしてしまうため、「比較の壁」が越えられず、地獄の消耗戦に突入してしまうということ。
何らかの形で、この商品が是非「欲しい」となれば、その欲求を喚起してくれたお店から買ってしまうという、まぁそういう図式である。
それ以上のところは、是非本書をご覧いただきたいが、もう一つ考えさせられたことがある。
こういった「欲しい」と思っていない顧客に「欲しい」と思ってもらうための努力というのは、往々にして売り手の思いや愛が強いことが前提で、また成果も測りにくいものが多い。
そうなると、結局大企業でシステマティックに取り組んでいくことは難しく、自ずとベンチャー的な組織で展開せざるをえない。
小生の本業である新規事業においても、ちょっと身につまされるところがあり、色々考えさせられる次第。
まぁ、ご参考ということで。