まずリンク。
インバウンド、観光テーマにおいては、現代日本で随一の論客であろう著者による一冊。
新規事業の領域にいると、当然インバウンドのネタは出てくるし、著者の登場する記事の類は結構読んできたのだが、まとまった書籍を読むのは個人的には初めて。
観光ビジネスの世界的な伸びと、その中にあって日本という国が持つポテンシャルを提示しつつ、現状の課題とあるべき姿をロジカルに展開する、「アトキンソン節」である。
著者によると、「観光大国」には、自然、文化、気候、食事の四要件が必要とされており、日本はその全てを兼ね備えていると。
問題は、観光産業がこれまで旺盛だった国内需要を前提にしており、外国人向けにマーケティングされていない、フィットしていないということである。
時代の変化を頭では理解しているのに、自分は一切変化しようとせず、都合の良い情報だけ集めて良しとする、これまで散々繰り返されてきた日本の縮図が指摘されており、非常に耳がいたい。
新規事業をいろいろ見ているが、これだけ明快に需要が伸びるマーケットというのも他に無いのに、新たなチャレンジに躊躇するというのであれば、一体どうすればいいのか、困り果てるばかりである。
だとしても、とにかく前に進めるしか無いのだが…。
インバウンドの新規事業を考えられている方は、最低限読んでおくべき一冊であろう。
統計データは多少古くなったが、ここで提起された問題は、まだ未解決のものも多いし、その問題点を理解して事業を組み立てれば、きっと良いものが作れるのではないだろうか。
まぁ、ご参考ということで。