人間到る処青山あり

諸々よもやま話(とりあえず)

「新・観光立国論」 読了

まずリンク。

デービッド・アトキンソン 新・観光立国論

デービッド・アトキンソン 新・観光立国論

 

 

インバウンド、観光テーマにおいては、現代日本で随一の論客であろう著者による一冊。

新規事業の領域にいると、当然インバウンドのネタは出てくるし、著者の登場する記事の類は結構読んできたのだが、まとまった書籍を読むのは個人的には初めて。

 

観光ビジネスの世界的な伸びと、その中にあって日本という国が持つポテンシャルを提示しつつ、現状の課題とあるべき姿をロジカルに展開する、「アトキンソン節」である。

著者によると、「観光大国」には、自然、文化、気候、食事の四要件が必要とされており、日本はその全てを兼ね備えていると。

 

問題は、観光産業がこれまで旺盛だった国内需要を前提にしており、外国人向けにマーケティングされていない、フィットしていないということである。

時代の変化を頭では理解しているのに、自分は一切変化しようとせず、都合の良い情報だけ集めて良しとする、これまで散々繰り返されてきた日本の縮図が指摘されており、非常に耳がいたい。

 

新規事業をいろいろ見ているが、これだけ明快に需要が伸びるマーケットというのも他に無いのに、新たなチャレンジに躊躇するというのであれば、一体どうすればいいのか、困り果てるばかりである。

だとしても、とにかく前に進めるしか無いのだが…。

 

インバウンドの新規事業を考えられている方は、最低限読んでおくべき一冊であろう。

統計データは多少古くなったが、ここで提起された問題は、まだ未解決のものも多いし、その問題点を理解して事業を組み立てれば、きっと良いものが作れるのではないだろうか。

 

まぁ、ご参考ということで。