人間到る処青山あり

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「精神科医は腹の底で何を考えているか」 読了

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精神科医は腹の底で何を考えているか (幻冬舎新書)

精神科医は腹の底で何を考えているか (幻冬舎新書)

 

 

なんとなく、Amazonの広告につられてポチって読んだ。

臨床経験豊富な精神科医が、その内面を振り返ったり、他の精神科医を眺めたりしながら、100人の精神科医のパターンに分類しつつ、一般的には謎に包まれる精神科医の等身大の姿を綴ったエッセイ。

 

正直、100人のパターンに分類する意味があったのかは疑問。

その大部分は筆者の内面の反映でもあるし、そんな奇をてらった趣向を施さなくても、その内容は十分共感出来たり、感心したりする内容だからである。

 

小生も医療関係者に友人知人は多いが、その大半は「普通の人」であり、本書で描かれる精神科医の姿もまた同じ。

日々向き合う患者と同じように悩み、怯え、それでもユーモアを交えながら前に進めようと奮闘する「普通の人」である。

 

個人的に考えさせられたのは、精神科医の心情が綴られているのだけれど、これは「コンサルティング」「コンサルタント」と名の付くビジネスに従事する人々に共通する話なのかなということ。

コンサルタント精神科医も、なんだか凄そうだけれど具体的に何をしてくれるのかは一般的にはよくわからない。

 

しかし、提示する問題解決方法は、あくまで王道や定石であって、何か本当に特殊なことをするわけではない(コンサルタントの”ソリューション”と、医師の”処方箋”は多分同じである)。

問題を抱える相手と真面目に向き合い、問題の原因を冷静に分析し、割とありきたりの解決策を提示する。

 

世の中からは凄そうに思われることが多いけれど、本人は普通のことを言っているだけという自覚しかないのが通例。

そして残念なことに、問題を抱える相手が、ちゃんと主体的に解決の努力をしてくれなければ、何の役にも立たない(実行型のコンサルとか、外科手術とかは別ね)。

 

でも、世の中的には価値があると一応認めていただいている。

ここ数年、個人の想いとして、自分しか提供できないソリューションを作ろうと頑張っていたフシがあったのだけれど、本書を読んで、王道や定石で良いのだな、求められているのはそこだよな、と冷静に考え直すことができた。

 

一方で、臨床経験の豊富さと、そこからくる洞察というのは、また別の価値を持っており、むしろそこに注力するべきなのではないかと考えてみたりする次第。

ご興味のある向きは、ご一読いただいてもよろしいかと思うが、どちらかというと個人的な気付きが大きかった一冊。

 

まぁ、ご参考ということで。