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未来の年表 人口減少日本でこれから起きること (講談社現代新書)
- 作者: 河合雅司
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2017/06/14
- メディア: 新書
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昨日までの一連の書籍と関連し、将来予測に関連する書籍が続く。
人口動態を中心に、「○○年にどうなっている」という想定を、タイトル通り年表のようにプロットしていく。
そういう意味では非常にわかりやすい。
巷では、2025年問題(団塊世代が後期高齢者に突入し、首都圏でも人口減少が始まる)が口にされることが多くなったが、著者は2042年問題の方が深刻であるとする。
2042年問題とは、団塊ジュニアが後期高齢者になるタイミングで、団塊ジュニアは社会構造や景況の問題で非正規雇用等が多く、資産背景を持たないため、後期高齢者になると社会保障費が他の世代より高くつく上に、ボリュームも多いという問題を指摘している。
他にもなるほどと思ったのは、
・出生率をあげても出産可能人口(母数)が減っているので子供は増えない(率ではなく数)
・生活インフラの劣化は首都圏の方が激しくなるので、地方に人が流出する可能性はある
・企業が戦力として期待する比較的若い高齢者は減る(後期高齢者だけ増える)
といったあたり。
対策の処方箋も記載されているが、やってみたら良さそうというものから、ちょっとどうかなというものまであるが、それは筆者の問題ではなくて、それだけ解決が難しい問題であるということだろう。
終末期に使用した社会保障費(主に医療費か)を相続財産から差し引く、というのは単純な相続税の増税ではなく、社会保障費抑制のインセンティブにもなり、面白いアイデアだと感じた(なんの名目で取るのか、財産の無い人間は取らないということでいいのか、というのはともかく)。
未来予測に関連する本を読んでつらつら感じるのは、変動があるから問題が大きくなるのだな、ということ。
以前読んだ夕張の記事でも、「繁栄しなければ衰退もしなかった」というくだりがあって、炭鉱街として栄えたがゆえに、そのためのインフラ管理にコストがかかり、また「昔の夢よもう一度」で無理をしてしまったのだと。
人口問題についても、団塊世代・団塊ジュニア世代というボリュームゾーンがあることで、社会保障費の増減のインパクトがあったり、居住エリアにムラがあって、それが高齢化とともに局所的に風化していくから問題になってしまう。
人口ピラミッドが筒状で、日本のあちこちに広く薄く住民が居れば、ここまでの衝撃にならなかったのだ。
しかし、そんなことを言ったところで始まらない。
将来に備えて、今できることをしっかり考え、手を打っていくしかないのである。
まぁ、ご参考ということで。