駆け出しの営業だったころ、「出来る限り顧客の偉い人、できれば社長に会え」と叩き込まれて育った。
それは目の前のクライアントの「担当」を超えていけ、という話でもあり、クライアントとの温かい人間関係に波風を立てる「ザワつき」があるものの、偉い人に会ったからこそ動き出すダイナミズムも体感でき、非常に刺激的なアクションだったりもする。
それを更に進展させていくと、クライアントととの実績をもとに、更に格上(クライアントを格付けしているようで申し訳ないが、より大手、より大きなバジェットという意味である)の仕事を獲りにいけ、という風になる。
そのプロセスは、あたかも大きな波に乗って、遥か遠くまで到達するかのような、緊張と恍惚を伴うものである。
しかし、恍惚を伴うことの難しさ、というものがあって、ひたすら、より大きな波を目指し続けていると、ある時から、大きな波を、あたかも自らの力として、仕事を獲りにいくようになる。
そうなると、もはや「虎の威を借る狐」となってしまい、実態の伴わない「アカウント」だけが積み上がってしまうことになる。
もちろん生産性を問えば、それは正しいかもしれない。
楽だし儲かるのも事実だろう。
しかし職業人としては、あくまで波乗りの技術で戦いたいと思うのだ。
大きな波は、臆することなく求めていくけれど、それは、より大きな波を捕まえにいくことで、難易度の高いミッションにチャレンジし、圧倒的なパフォーマンスを発揮するためでありたい。
経営としては間違いかもしれないが、その心意気を忘れたら、ただ金儲けを追求するだけの存在に堕してしまうし、そもそも面白くないと思う。
簡単では無いけれど、その心意気だけは、失わないようにしたいと思った今日この頃。
まぁ、ご参考ということで。