人間到る処青山あり

諸々よもやま話(とりあえず)

「ザ・ラストマン」 読了

まずはリンク。 

 

すでに風化しつつあるかもしれないが、かつて経営の大ピンチに陥った日立グループの、立て直しの陣頭指揮をとった著書によるエッセイ。

現在、川村氏は東京電力ホールディングスの取締役会長でもいらっしゃるのだが

もちろん当時の実績を買われてのことであろう。

 

書籍の内容は、「ラストマン」の意味から、ビジネスへの取り組み姿勢、キャリア、日立グループ再生のエピソードなど、平易な語り口で綴られており、大変読みやすい。

大手重電メーカーのトップというと、なんとなく厳ついイメージを持ってしまうが、さらにそれも70歳を超えた大ベテランの文章としては、意外なほどリベラルでフラットな印象である。

 

海外留学し転職して他社を見て戻ってきた人物の方が、これからの日立にとって本当に意味ある存在になりうるかもしれない、等々、経団連企業らしくないといえばらしくない。

お立場がお立場なので、言えること言えないことがあるのかと思うが、日立グループの再生に関しては、極めてオーソドックスなことしか書かれていない。

 

再生の戦略や現場の苦労など、結構あっさりしていて、この本でなければ知り得ない内容は特にないと思う。

再生だけでなく、ビジネスマンとは、キャリアアップ術、これからの日本企業等々、ビジネスの話題は繰り広げられるが、いずれも非常にオーソドックスである。

 

古き良き時代に育った大企業トップによる王道を語るエッセイ、という風に受け止められるかもしれないが、結局のところ、王道に勝る正道は無い、ということなのかもしれない。

ちなみに「ラストマン」であるが、川村氏が若かりし頃、上司に叩き込まれた、最後の最後まで責任をもって取り組むリーダー、というような意味合いである。

 

リクルートの「圧倒的当事者意識」、DeNAの「球の表面積」、そして日立・川村氏の「ラストマン」。

力のある会社には、社員の力を思う存分発揮せしめる文化が存在しているようである。

 

まぁ、ご参考ということで。