人間到る処青山あり

諸々よもやま話(とりあえず)

「妖怪ハンター」読了

一応リンクを貼っておく。 

 こんなビジネスメインのブログで何でこんなネタをと、小生も逡巡したが、思うところがあったので、あえて書いておく。

 

Kindle版の奥付は新しいが、原作そのものはもう40年以上前の作品である。

妖怪ハンター - Wikipedia

 

40年以上前のコンテンツが、指先一つで消費できる21世紀は本当に凄いが、それはともかく、本作品は、日本古来の風俗・文化・伝承をベースにしたホラー。

主人公が考古学者という設定で、古事記日本書紀などの古典や、地域地域の伝承などが折々語られる、アカデミックな仕立てもあり、たいへん奥行きのある、Amazonでも高評価の作品。

 

多分、荒俣宏帝都物語を面白いと思われる向きには、きっと刺さるのではないかと思う。

帝都物語 第壱番 (角川文庫)

帝都物語 第壱番 (角川文庫)

 

そうじゃない人には刺さらない(絵が既に怖いし)、そういう作品である。

 

小生、基本的にホラーの類は読まないし、好きでもないが、学生時代にこの作品を少しだけ目にする機会があり、その「奥行き」が忘れられず、常に頭の片隅にあった。

今般、Amazonの「Kindleまとめ買い」(大人買いともいう)に表示され、思わず買って読んでしまったという顛末。

 

それで、なぜブログで取り上げることにしたか、というのは、たまたまこういう記事を読んだから。

www.itmedia.co.jp

この記事の内容が正しいかどうかは、色々な見方があると思うが、人工知能に対して、欧米圏には「神ならぬ人の手で創造された知能」という背徳感があり、一方で日本人は「人ならぬものに人格を見出す」メンタリティがあり、それが色々な誤解を生むのでは、という論考である。

 

ちょうど「妖怪ハンター」を読み終わり、最近すっかり忘れかけていた、自分の中の古い日本的なところと、そこに感応する恐怖感を味わっていたところだったので、一定の重みを持って上記記事を読んだ次第。

思えば、日本のコンテンツは、結構ホラーが強いような気がする。

 

御大、水木しげる先生を引き合いに出すまでもなく、土俗的な文化や何気に長い歴史に蓄積された、古の人達の恐怖の念というのは、目に見えない形で我々を規定しているのではなかろうか。

それがまた、作品として昇華された時に、割と広く通用するものになるのではあるまいか。

 

余談だが、アメリカはやっぱりSFが強いような気がする。

昨年読んだこちらも、古典の類であるが、出色の出来であった。 

星を継ぐもの (創元SF文庫)

星を継ぐもの (創元SF文庫)

 

 

本題に戻ると、ビジネスでの戦略立案や、新規事業の構築にあたって、自らの寄って立つ所を明らかにするのは、ベーシックなセオリーであるが、我々は思いもよらないところに規定されていたり、自分では気付かないところに強みがあったり、というのはよくある話。

目に見えるところにばかり注意していても、答えはわからない。

 

企業の歴史、文化、メンタリティ、人材のタイプ・・・。

目に見えないところにこそ、その本質は潜んでいるのかもしれない。

 

ホラーを読んだせいか、「目に見えないところ」に、思考が奪われているのかもしれないが。

まぁ、ご参考ということで。