新規事業構築において、行き詰まるパターンの一つに、「何がしたいのかよく分からなくなる」というものがある。
開拓すべき新市場とか、売るべき新商品などのミッションが与えられている場合は、なんらかの形でPDCAを粛々と回せば良いので、まあ話が早いといえば早いと言える。
一方で、「何をするかから考えてこい」というミッションの場合は、「何がしたいのかよく分からなくなる」という風になりやすい。
そういった場合、そもそも考える行為自体、指示を受けて始めることになるので、既に受け身だったりする。
そうなると、ある種無理やり「伸びそう」「儲かりそう」「なんか困っている人が多そう」というネタをひねり出してくることになる。
それは当然思いつきだし、そのネタには愛も情熱も無い。
「何をするかから考えてこい」というオーダーを出す方も、やや強引ではあるのだが、そこにさらにネタを考えた側に「本当に可能性があると思っているのか?」「本気で逃げずにやり切るのか?」という問いが重ねられていくことになる。
ネタを考える側にしてみれば、理不尽かもしれないが、仕事というのはそんなもの、とも言えるかもしれない。
そうなってくるとやはり、自分がやりたいと思えるものを見つけてくるというのが、遠回りなようで最も上手くいくやり方になると思う。
これは実は、キャリアに対する悩みと同じでもある。
自分はこの先何がやりたいのか、どうあるべきか、どのように「成功」するか、と置いてみれば、キャリアプランニングそのものである。
ということは、解決策も一緒で、自分一人で内省するのはほどほどにして、多少なりとも興味のある分野をかじってみたり、業界の人に会ってみたりといった、外に意識を向けた具体的な行動の積み上げが重要になる。
外部の人や事業と、自分や自社の事業を対峙させた時に、初めて自分のことが見えてくる。
「見えない己が姿」を見えるようにするには、いきなり「図」を描こうとするのではなく、「地」から描いて「図」を浮かび上がらせるような方法論しかないのでは、と小生は思っている。
そうやって、自分の信じられるものを見つけられれば、あとはそれに向かって邁進するだけ。
楽しい毎日の始まりである。
なぜ小生が、キャリアの話と新規事業のお話を行ったり来たりしているのか、お分かりいただけたかもしれない。
ちなみに小生の「信じていること」としてのミッションは、「社会課題の解決を通じて、個人の自己実現を支援する」ことだと思っている。
まぁ、ご参考ということで。