人間到る処青山あり

諸々よもやま話(とりあえず)

モノを「みる」目とは

「みる」という単語には、多くの漢字があてられる。

見る、観る、視る、診る、看る…。

 

武道の稽古では、師匠が何気なくやってみせた技から、どれだけのモノを見いだせるか、というのが勝負であり、修行者としての行く末を分かつ、致命的なポイントでもある。

そんなことを思い出したのは、こんな記事をたまたま目にしたから。

 

http://gigazine.net/news/20170425-life-of-bob-ross/

ボブ・ロスというアメリカ人画家にまつわる話なのだが、彼はテレビ番組を持っていて、それは30分の番組枠で、何もないところから魔法の様に美しい風景画を完成させる、というある種「ショー」の様な内容であった。

 

NHKで放送されていた当時、小生は食い入る様に見ていたものである。

何もないキャンバスに、思いもよらない一筆が、あとあと見ると完成された風景画の一部として組み込まれていく様は、驚きと感動をもたらすものであった。

 

ある時、青空を背景に雪山を描く、というテーマの回があった。

青く塗られたキャンバスに、ボブ・ロスはいきなりグレーの絵の具を切りつける。

 

「おいおい、雪山なんだからそこは白だろ!」という小生の心の叫びを置き去りに完成した絵は、見事な雪山の絵であった。

そう、素人は「雪山=白」という固定観念でしかモノが見られなくなってしまっているのだが、プロはまさに、目の前のモノを、ありのままのカタチ、ありのままの色彩で見ているのだ。。

 

だからこそ、雪山の中にあるグレーの色彩を見出し、ありのままのカタチを表現するために、絵画用のナイフで切りつけて描くという行為に出たのである。

当時小生は、中学生か高校生か、記憶も定かでないが、その道のプロと素人とは、同じ事象を前にしていても、明らかに違うモノを見ているのだと、強烈に印象に残ったのである。

 

そんな話は、社会人となってビジネスの世界に入ってからも、日々思い知らされながら、今日に至っていて、今も日々プロとしての目を試されている様な気がしている。

それはどんなビジネスパーソンも、大なり小なり同じであろうと思う。

 

みなさんのモノを「みる」目は、どんな目であろうか?

まぁ、ご参考ということで。