人間到る処青山あり

諸々よもやま話(とりあえず)

「早帰りデー」では労働時間は短くならない

長時間労働の弊害から来た痛ましい事件などを受け、残業時間を削減させる各種施策についてのニュースが多い。

消灯時間を定めたり、「早帰りデー」を設定してみたり、色々昔から取り組まれているのだが、それで効果を上げられるのは、「なんとなくダラダラ残っている」場合だけである。

 

そうでない場合は、やることがあって残業しているので、会社から締め出したところで、他の日にしわ寄せが行くだけ。

故に、残業時間を減らしたいのであれば、業務量を減らすこととセットでなければならない。

 

先ずこれが大前提。

それを踏まえて、必要ではない業務を極限まで削っていく事を進めていく。

 

ここで重要だと思っているのは、何が必要かは、「一人親方」のような仕事でない限り、上司しかわからないということだ。

優先順位を決め、限られたリソースをやりくりするのがマネジメントだが、日本の総合職文化では、社員の労働時間は「無限」なので、マネジメント側が部下の労働時間をやりくりするのが意思も能力もなく、ここに問題の難しさがある。

 

ともかく、業務の取捨選択を踏まえた上で、生産性の向上、効率化というのが次だ。

労働時間を削ってアウトプットが減っては意味がない。

 

既に業務は絞られている筈だから、いかに精度高く、スピードを上げていくか、ということになるが、この辺りはテクノロジーの活用と親和性が高い。

しかし、テクノロジーによって劇的に生産性が上がると、労働者側はかなり暇になる。

 

労働者側には、テクノロジーの活用に拒否感を示すタイプもいれば、暇になるのが怖いというタイプも居る。

暇が続くとクビになるのでは、という心配も起きるから、無駄に忙しくしておきたい気持ちはよくわかるのだが、そうなってしまうと、本当に時間が限られているか、成果に自信がある人以外は、効率的に働くインセンティブがなくなってしまう。

 

そんなわけで、「早帰りデー」では残業は無くならない。

とは言え、ファーストステップの、不要な業務を削るというだけで、日本の残業時間は相当減らせると思うけれども。

 

せめて時給換算したときに、それだけの付加価値を生み出すタスクなのかどうかは、マネジメント側には考えてほしいところ。

一人親方」は普通考えるし。

 

まぁ、ご参考ということで。