人間到る処青山あり

諸々よもやま話(とりあえず)

大人の事情

ビジネス書続きでこんな本を読む。

 

マーベルの映画はボチボチ観ているけれども、そこまでフリークではない。

が、ディズニーCEOの自伝の中に買収のストーリーがあり、買われた側の話も読んでみようという感じ。

 

本書の内容自体は、マーベルの創業から発展、現在に至る歴史。

タイトルに「知られざる」となっているけれども、何か物凄い秘密が書かれているわけではない。

 

「知られていない」話をオーバーに書くと「知られざる」になる、そんなレトリックだろうか。

更に言うと帯にある「全く新しいクリエイティブメソッド」は殆ど描かれていないように感じる(コミックの制作体制の話?映画監督の起用方法の話?と思い返してしまう)ので、その辺を期待する向きにはちょっと的外れな本かも知れない。

 

なんというか、マーベル歴史というのはコンテンツのマネタイズの歴史なのかな。

会社の浮き沈みと連動して、キャラクターの権利を貸し出したり担保に入れたり、奪い合ったりして、大の大人が争う歴史。

 

なるほど、スパイダーマンがマーベルに戻ってきたのはそんな経緯があったのね、とか。

なんとも微妙な感じがしたけれど。

 

まぁ、ご参考ということで。

 

会議は何故長くなるのか

こんな本を読む。

 

会議、多いし長いよね。

なんとかならないものかなと。

 

まあそんなわけで手にしたわけだが、比較的若めのビジネスパーソンに向けた仕事術というテイストで、会議だけではなく仕事上のコミュニケーションとか資料作成方法について、元トヨタのエンジニアで現在は経営コンサルタントの著者が解説しているもの。

 

資料作成といえば、トヨタではなんでもA3一枚にまとめるという話を聞いたことがあるのだが、必ずしもそうではないらしい。

でも日常はペライチとか、会議の議事録に至ってはホワイトボードのハードコピーだけとか、もっと短いことも多いらしい。

 

で、まあ結局のところ、しっかり考え抜いて準備をして、会議で決めたいことを明らかにして臨むから30分で終わるんだなと。

裏を返せば、そこまで詰め切れていないから、何を決めれば良いかモヤっとしているから、普通の会社ではその議論を「会議」にして「あーでもない、こーでもない」とやるので会議が多くなり、長くなるんだなと。

 

それでもって、「あーでもない、こーでもない」と気心の知れた同僚と喋るのはなんだかんだで実は楽しいので、これまた会議が多くなり、長くなる構造なのだよ、きっと。

ビジネスに必要な要素を最短で詰めにいくのは、なかなかにハードでドライだから、みんな耐えられずにソフトでウェットなダラダラ会議に流れていく。

 

いやはや、厳しいですな、ビジネスは。

まぁ、ご参考ということで。

 

バカなとなるほど

完全にタイトルに惹かれて買ってしまう。

 

「スーツに見える作業着」の売り文句であるWWSというブランドが話題になっているのは存じ上げていたのだが、まさかタピオカミルクティーの店舗も経営し、元は水道関連の事業だったとは知らなかった。

それだけで、「どうしてそうなったの?」という興味を呼び、読みたくなってしまうというもの。

 

本書は、創業経営者によってこれまでの経緯を綴られた本だから、もちろん面白いし、なるほどそんな経緯で立ち上がってきたのかと大いに納得するのである。

著者は小生と同世代。

 

キャラクター的には小生の人生からはちょっと距離があるのだが、これまでお会いしてきたオーナー経営者の多くがそうであったように、とても熱く魅力的な人のようである。

きっとこれからもいろんなことがあるんだろうし、周りの人も着いていくのが大変だと思うけれど、楽しく事業を続けていかれるんだろうなぁと感じた。

 

ちなみにタイトルの「バカなとなるほど」は神戸大学の先生の言葉で、イノベーションを起こすプレイヤーというのは、最初は周囲から「バカな」と言われるような取り組みを行うんだけれども、その実は周到な戦略があり「なるほど」と唸らせられるものなのだと。

そんなことを思い出したのであった。

 

まぁ、ご参考ということで。

 

 

 

割り切ることの難しさ

お店の経営に関する本を立て続けに読む。

 

先日は高級食パンの話だったけれども、今回は居酒屋系を中心とした外食経営の本。

タイトルからすると「反職人」みたいな主張に聞こえるが、そこまで激しい内容ではない。

 

でも、自分はどんな店を目指したいのか、どんな価値を提供していくのか、というのは大事にしていて、内容的には先日の高級食パンの本にかなり近い。

基本は「自分らしさ」を軸に、お客様がその店に来る理由、そのメニューを選ぶ理由をデザインしていく、そんな感じ。

 

なのだが、本の中盤に「一度は試してみたい鉄板集客メニュー20」みたいな章があって、唐揚げ食べ放題とかマグロの解体ショーとか書いてあるのである。

客の立場からすると「そんなのがあれば確かに行くかな」なんだけれども、お店を経営している立場だと「え、それやるの?」と思うんじゃないかなぁ。

 

とことん困っていて打ち手無しであれば、なんでも手を出すかもしれないけれども、集客のために客寄せイベントをやるのは、贅沢かもしれないけれど割り切りにくいような気がする。

それが「自分らしさ」に繋がったものとして出来るように考えろ、ってことなんでしょうけどね。

 

人生を捧げる仕事だからこそ、自分が楽しいと思うことをという気持ちと、コレやれば儲かるのはわかってるんだけどちょっとね、という葛藤を勝手に垣間見た気がする。

経営は難しいね、いつもその葛藤なのかもしれないね。

 

まぁ、ご参考ということで。

 

 

不良だと思ったら良い奴だった

なんのこっちゃ。

本の話である。

 

Kindle日替りセールでレビューが高かったので買うといういつものパターンで手元にあったのだと思う。

 

非常に奇抜な食パン専門店のプロデューサーによるビジネス書。

高級食パンのフランチャイズは増えたなと思っていたのだが、著者のプロデュースした店は存じ上げず。

 

調べてみると近所にも結構あると判明。

https://japanbakery.jp/produce/

 

なるほど、相当奇抜である。

が、本書を読んでみると、その考え方の確かさに感心する。

 

ビジネスというのは一過性のものではなく、弛まぬ努力と向上を必要とする。

なので、まず金儲けありきではなく志を問いたい、というところとか。

 

そりゃそうだ。

安易な金儲けを謳うフランチャイズのパッケージが蔓延する今だからこそ、重要なスタンスだよなと。

 

高級食パン専門店なんて、限られた商品ラインの中で、スーパーやコンビニと差別化しつつ、リピートを呼び続けるという難しいビジネス。

弛まぬ創意工夫無しにはできないだろう。

 

著者の風変わりな風貌、店のコンセプトは、ビジネス的な戦術を突き詰めた結果とのことだが、なるほどしっかりしていますな。

まぁ、ご参考ということで。

 

楽しむ能力

なんとなくビジネス系の本を読みたくて積読在庫を漁る。

 

比較的若いビジネスパーソン、それも女性に親和性があるしつらえで編集されていると思うのだが、出版社創業社長による仕事に対する心構えを解いた本。

というまとめでいいのかな?

 

読んだ感想としては、共感できるところ多数、良い本だし若いビジネスパーソンに広く読んでほしいと感じた。

オジサンになって若いビジネスパーソンと向き合う時に、日々悩むのが「力加減」なのである。

 

オジサンたちの世代は、かなりブラックな労働環境も経験していて、それをどうやって生き残るのかという創意工夫もしてきたし、そのアレコレが今の力を形作ってきた実感がある。

しかし、それを今の若者たちにどこまで伝えるのか、どこまで求めるのかが、非常に難しい。

 

著者はそれを、明るく楽しく、突き抜けた感じで述べている。

もちろんブラックを推奨しているわけではないけれど、仕事に夢中になること、楽しむことをわかりやすく語ってくれる。

 

特に、なんでも楽しむ能力について言及していて、これは小生も日々意識していることなので、とても共感。

毎日の料理は仕事と言って良いと思うけれど、それを嫌々やる人も居れば、楽しんで取り組む人も居る。

 

要するにそういうことだ。

そして著者は言う。

 

人生はプロセスなのだから、生きていることそのものを楽しめなければ意味がないと。

ほんと、そうですよ。

 

まぁ、ご参考ということで。

 

 

良い交渉

Kindle日替りセールでなんとなく興味を持って、そのままにしていた本を手に取る。

 

著者は総合商社での勤務経験を経て、M&Aのアドバイザーとして成功しているビジネスパーソン

その経験を踏まえ、ビジネスにおける実践的なテクニックとしてまとめたのが本書。

 

結構良い本だなと思ったのは、単なる武勇伝的な内容ではなく、心理学とか行動経済学の知見も踏まえ、既存の交渉術に関する本もあらかた舐めた上で、本当に使えるものをという想いで書かれているところ。

小生が普段心がけていること、やってきたこととそんなに違わなかったので、ちょっと安心(笑)。

 

そんな中でとても共感したのが、「良い交渉とは何か」という記述。

著者は、たとえ取引が成立しなくても、お互いの信頼関係が深まるのが良い交渉、と述べている。

 

これは本当にそうで、ビジネスとは一度きりの縁とは限らないし、その取引の関係者がどこに繋がっているかわからないものなのである。

人材エージェントの時にも、何年か前にお引き合わせした方々がまたお会いして、というのは何度か経験があるし、別の会社に伺った際に「あぁ、あの人ね…」なんていうこともあった。

 

取引が成立するかどうかは、いろいろな要素があって、たとえ心の深いところで繋がり合えるような信頼関係が作れても、ビジネスにならないことはたくさんあるものなのだ。

でも、深い信頼があれば、またどこかで一緒に仕事をする機会は作れるし、誰かとそんな関係を作れたことこそ、とても楽しい、人間本来の喜びに満ちた瞬間だったりするのだと思っている。

 

まぁ、ご参考ということで。