人間到る処青山あり

諸々よもやま話(とりあえず)

ターゲット不在の恐ろしさ

昨日たまたまネットをうろうろしつつ、広告を踏んだ流れである自動車メーカーのセダンの商品ウェブサイトをなんとなく見ていたのである。

「おぉ、結構高いな」とか、そんなどうでも良い感想を抱きつつ、ふとデザインしか「推し」ポイントが無いことに気付く。

 

確かに燃費も良いし、安全装備も最新なのだが、それは同時期に出たクルマだったら全部同水準。

なのでデザイン「推し」なのか?

 

家族持ちならセダンよりミニバンの方が明らかに便利。

コストと日常の使い勝手であれば軽自動車が良い。

 

そのどちらにも収まらないニーズの受け皿としてコンパクトカーがある。

ミニバンや軽自動車やコンパクトカーには、ターゲット顧客であろうモデルの画像と利用シーン、それらにマッチした機能がこれでもかとアピールされている。

 

収まりきらないので専用のスペシャルページがあるくらい。

翻って最初のセダンといえば、スペシャルページはなく、画面に人は居なくて、ひたすらクルマの内外装とスペックのみ。

 

これはもう、セダンというクルマを、どんな人がどんな目的で乗るのか、メーカーも分からなくなってしまったということだろう。

ターゲットがわからない以上、商品開発の方向性はひたすらスペックを上げるか、安くするかしかない。

 

そうなるとビジネス的にキツいから、デザインを推すことにしたのかもしれないが、ターゲット不在であればやっぱり方向性は作れないので、「ボクが考えたかっこいいクルマ」よろしく、ひたすら尖らせていくしかない。

かくして、誰も買わないクルマが出来上がる。

 

嘲笑っているのではない。

世界中から優秀な人材を集め、長年マーケットで存在感を示し続けているグローバルなメーカーですら、堂々とこんな判断をしてしまうのである。

 

ましてや我々は、ということで、背筋が寒くなりつつ、気を引き締めた次第。

まぁ、ご参考ということで。