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「グローバル資本主義VSアメリカ人」 読了 〜ニュースには出ないアメリカのB面〜

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グローバル資本主義VSアメリカ人

グローバル資本主義VSアメリカ人

  • 作者:篠原 匡
  • 発売日: 2020/02/06
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

さる有名論客が強く推していたこともあり、興味を持って購入。

アメリカ経済や社会を知ることは、今後のビジネスの展望を睨む上では基礎知識と言って良いだろう。

 

小生と同世代、40代の日経記者による、市井のアメリカ人を追ったルポルタージュである。

タイトルはなんとなく意気軒昂な雰囲気が漂うが、どちらかというと変化する世界のスタンダードに取り残されるアメリカ一般市民という内容である。

 

国境地帯で密入国から「国を守る」自警団。

国境紛争の犠牲となってきたネイティブアメリカン

 

シリコンバレー周縁部で車上生活をする人々。

はたまたメガチャーチと呼ばれる、超大規模な教会組織。

 

アメリカのテレビドラマシリーズなんかをよく観ている人にとっては、まったく知らない世界ではないと思うのだが、なるほどいろんな社会階層が存在する国なのである。

個人的に興味深いと思ったのは、娘を射撃の選手として育てながら、子供達に銃の扱いを教えるスクールを運営する人物の話。

 

日本人からすると、乱射事件が起こるたびに、銃を規制するほうがいいんじゃないかと素直に思うし、全米ライフル教会なんていう圧力団体の存在を知ると、古く頑迷なアメリカ人像を想起してしまう。

しかし、彼が主張するロジックもまた説得力があり、これは簡単には変わらない(変えられない)ジレンマを強く感じたりもする。

 

国境とか銃規制なんていう話題が出てくると、どうしても日本からは遠い話のように思うかもしれないが、読めば読むほどに「なんかこういう境遇の人、日本にも増えているんじゃないか」と感じられ、茫洋とこの国の行末に想いを馳せてしまう(あまりいい意味ではなく)。

社会課題、日本の未来なんかを考えたい人には、格好の材料となる一冊ではあるまいか。

 

まぁ、ご参考ということで。