人間到る処青山あり

諸々よもやま話(とりあえず)

「若い読者のためのアメリカ史」 読了 〜強靭で多様な歴史〜

リンクを貼る。

 

イェール大学出版局の歴史シリーズは本書で3冊目になる(あと2冊ストックがある)。

若い読者でもなんでもないのだが、読み物として綺麗に纏まってあり、知的好奇心を満たしてくれるシリーズ。

 

本書は、彼の国のおおよそ500年の歴史を紐解くもので、40章立てでそれなりに長い。

もちろんコロンブス以前から人は住んでいたのだが、なにぶん文字の記録がなく、また今の形につながる歴史となると、やはりコロンブス以降となる。

 

それなりに理解していたつもりだったのだが、改めて専門書を通読すると、いろいろ感じ入るところがある。

アメリカという国は、キリスト教との結びつきが非常に強い国なのだが、ピルグリムファーザーズだけでなく、キリスト教理想社会を切り開くために多くの宗派が入植しており、もはやDNAに染み付いているのでは、と改めて思わされたこと。

 

欧米列強の統治と衝突、世界中からの移民受け入れと定着。

奴隷制という負の歴史と、歪んだ形で今も継承される様々な差別。

 

それらを克服しようという努力や、そこに通底する自由と平等の理念。

分断と統合を繰り返し、多様な価値観を受け入れ、多くの闘争や犠牲を払いながら、怒涛のような歴史を紡いでいる。

 

そして今なお超大国として君臨する様を眺めるに、「強靭」という言葉と、中学時代に聞き覚えた「人種の坩堝」という表現を、小生は想起する。

彼の国の強さの源泉を見た思いがして、唸らせられるのである。

 

まぁ、ご参考ということで。