人間到る処青山あり

諸々よもやま話(とりあえず)

「お金の流れで見る戦国時代」 読了 〜民は領主を選べないのか〜

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もう、ここのところ、金の流ればっかり追っている(笑)。

一気読みするほど気に入ってしまったわけだが、取り敢えず今回のまとめ買いは本書で打ち止め。

 

お金の流れを切り口に歴史を追うシリーズの中で、本書では戦国時代に特化した内容。

もちろん日本全体の通史であった「日本の歴史」と重なるところはあるけれど、時代が区切られ群雄割拠の日本ということで、各武将の比較論になっているところが面白い。

 

本書の主張によると、やはり織田信長の政策はかなり偉大なものだったようだ。

上杉謙信との比較でいうと、室町幕府という既存の社会秩序の中で上を目指した謙信と、社会秩序そのものを変えようとした信長、という風に語られている。

 

また、その変革があまりにもドラスティックだった為に、信長は裏切られたのではないか、という分析も披露されている。

本シリーズでは、統治者としての能力を民力の活かし方の優劣で語られることが多いのだが、戦国時代の武将はあからさまに能力差があったようだ。

 

領地から逃亡して他国に移住する民も居たようなので、ある程度移動は出来たのだろうが、ほんと、領主を選べない民は不幸である。

そもそもに遡ると、土地の持つポテンシャルというのは如何ともしがたいところがあって、富を生まない領地を抱えてしまうと、どうしても領主は民に重税を課すしかなくなってしまい、それがまた発展を妨げるという負のスパイラルに入ってしまうのである。

 

外の世界を知っていれば、住んでいる土地にしがみつくことなく、もっと幸せな人生が送れたであろうに、なんていうことも感じてしまうのだが、それは小生が現代人だからなのか、ジョブホッパーだからなのか…。

いずれにしても、いままで習ってこなかった「へー」が満載なので、ご興味のある向きは是非に。

 

まぁ、ご参考ということで。