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本書は数ヶ月前にレビューを見て購入し、読もう読もうと思って積読していた一冊。
実際に読むに至った経緯は、下記の未来予測の本を読んでいて、需要が世界を変えるという認識にピンときたから。
川北氏の著作は、以前こちらを読んだことがあり、政治などの上部構造ではなく、文化や風俗、欲望(需要)から歴史を語る方法論に、強力なリアリティを感じていた。
本書は、近代500年の歴史を、各国ごとの時系列ではなく、同時代の関係性で紐解いていくところがキモ。
「関係性」というのが、「システム」と語られるゆえんである。
イギリス産業革命は、アフリカやカリブ海諸島を巻き込んだ奴隷貿易を含む三角貿易無しでは成立しなかったし、中心と周辺という関係性で世界を捉えた時に、当時のイギリスが周辺を抑えてしまった以上、フランスで産業革命は起こり得なかったと喝破する。
一つのエリアを時系列で追っていたのでは、永遠に得られない視座を提供してくれるし、その関係性が現代も影響を及ぼしているという事実は、今後を占う上でも重要なヒントを提供してくれる。
本来、歴史を学ぶ方法論と意義は、このようなアプローチにこそ存在するのでは無いだろうか?
高校時代に川北氏について近代史を学ぶことができたなら、受験はともかく物凄くいい勉強になったのでは無いかと思う。
ちなみに、海賊というテーマを通して、近代ヨーロッパ諸国の関係性を説明したという意味では、こちらもおすすめ。
まぁ、ご参考ということで。