人間到る処青山あり

諸々よもやま話(とりあえず)

「USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?」 読了 ~森岡作品コンプリート①~

リンクを張る。

 

マーケティングの書籍をあらためて広く読みだしていて、「そこはやっぱり森岡さんでしょう」ということで著作を洗っている。

とはいえ、森岡氏の著作は「確率思考の戦略論」しか読んだことはなかったので、本書は初めて。

 

ここまで語っておいて恐縮だが、ご存じない方のために申し上げておくと、著者の森岡毅氏は、大阪のテーマパークであるUSJをV字回復に導いた、マーケティングのプロ(現在は独立している)。

ビジネス書界隈では相当な有名人であり、各種オンラインメディアにも結構な割合で登場し、小生個人としても、その動向は常にウォッチしているお一人。

 

本書は、USJのV字回復の立役者として、様々な制約条件がある中で森岡氏が何を考え、周囲を巻き込み、実行に移していったかという回顧録的な前半部と、それを支えたフレームワークなどの講義パートに分けられると言ってよい。

本書が書かれたタイミングは、ハリーポッターのアトラクション完成前なのだが、文庫版のあとがきとして、「その後どうなったか」まで言及されており、ハードカバー版よりお得感はある。

 

「確率思考の戦略論」にも言及があるのだが、本書の執筆もマーケティング戦略の一環というくらい、森岡氏の策は周到である。

森岡ウォッチャーとしては、前半の回顧録的な部分はネットメディア等で読んでいたし、後半の講義部分は「確率思考の戦略論」の方が相当緻密なので、個人として本書を読んでの学びは、あまりなかった。

 

しかしながら、森岡毅という人物がどんな人間で、どんな情熱をもってこの仕事に臨み、どのような喜びを得たか、という点については、理解は深まったと思う。

森岡氏の近著は、親が子に語るキャリア論のようなので、その本を読む準備として、意味があったのかもしれない。

 

それはともかく、森岡氏の著作、インタビューをあまり見たことがなくて、マーケティングを学ぼうとする人たち、あるいはテーマパークをはじめとするエンタテインメント全般が好きな方にとっては、前半の回顧録的な部分だけでも、十分に楽しめる一冊なのではなかろうか。

まさに痛快なストーリーであるので、是非お勧めしたい。

 

まぁ、ご参考ということで。