人間到る処青山あり

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「道迷い遭難」 読了 〜原理原則の大事さと余力を持つこと〜

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ドキュメント 道迷い遭難 (ヤマケイ文庫)

ドキュメント 道迷い遭難 (ヤマケイ文庫)

 

 

たまたまKindleのデイリーセールで目にしてしまったのだが、レビューも高評価で、インドア派の小生も興味を持った。

ビジネス、マネジメント的には「失敗学」として、なにか活かせる要素があるのではないかと思い、拝読。

 

2000年頃に実際にあった、7件のケースを、著者による丹念な取材をもとに紐解くドキュメント。

それなりのベテランから、家族連れのハイカーまで、ケースのバリエーションは豊かである。

 

怪我の程度で言えば、1件目が一番悲惨といえば悲惨だが、遭難に至る経緯は、なんだか「うわぁ・・・」「志村うしろ〜!」的な場面の連続で、シリアス過ぎて非常に楽しくないのだが、だからといって本書の評価を下げるものではない。

インドア派の小生は初めて知ったのだが、「山で道に迷ったかなと思ったら、すぐに引き返す」「沢に降りてはいけない(下らずに登る)」というのが鉄則なのだそう。

 

しかし、本ケースの皆さんは、ことごとくそれをしない。

疲労が蓄積してきてしまうと、「また引き返すのは面倒だ」「もう少し下れば山道にたどり着くのでは」みたいな心理で、どんどん誤った方に進んでしまう。

 

そして一度誤ってしまうと、焦りから冷静な判断ができなくなり、更に間違ってしまう。

これ、まさに行動経済学で明らかにされた、サンクコストの話。

 

 

本書には自力で帰還できた女性の話も出てくるが、それはやっぱり途中で冷静に戻れたところがあったと思う(遭難するタイミングは冷静さを失っていた感じがする)。

行動経済学でも色々なことが明らかにされつつあるが、”原理原則”はやっぱり曲げちゃいけないんだな、ということと、冷静な判断を持つためには、特に体力的な余力が絶対に必要なのだな、ということが学び。

 

「ウチの会社(業界)は特殊だから」「ほんとは駄目なんだけどねー」を口癖にしながら、残業だらけのブラックな環境で働いていると、絶対遭難するんだろうな(笑)。

くわばらくわばら。

 

まぁ、ご参考ということで。