人間到る処青山あり

諸々よもやま話(とりあえず)

「未来のイノベーターはどう育つのか」 読了 〜本テーマについての解はある程度見えた〜

リンクを貼る。

 

職業柄イノベーション関連の書籍には目を通すことにしている。

小学二年生の父親としても子育てテーマには関心があり、レビューも高評価だったのでポチった次第。

 

著者のトニー・ワグナー氏は、ハーバード大学テクノロジー起業センター初代フェロー、ハーバード教育大学院チェンジ・リーダーシップ・グループ創設者、ビル&メリンダ・ゲイツ財団シニアアドバイザーなどの肩書きを持っており、本書で扱うテーマの著者としては資格十分であろう。

本書の構成は、何か理論立てがあって演繹的に展開されるというよりは、イノベーターと言われる人とその親へに対する数多くのインタビュー、イノベーター教育に取り組む機関への取材などから、結論的なメッセージへと積み上げられていく、という感じである。

 

本書の主張自体は、新鮮な驚きに満ちたものというよりは、類書で多く述べられてきたことと違いはないな、という印象であった。

小生なりの解釈で説明してしまうと、本人が夢中になれるものを尊重し、様々な機会を提供することで、その夢中を伸ばしていく、それが結果的にイノベーター育成に繋がるというイメージである。

 

小生としても、イノベーター育成&子育てにおいても、その辺りが「解」なのかなと思っていて、こちらの本を読んでも感じたのだが、夢中で取り組んでいるかどうかが、結局はビジネスとしての勝利に繋がるのであり、そう思える方向性をいかに見出し、伸ばしていくかが長期の戦略なのだ。

dai19761110.hatenablog.com

 

「どうする?日本企業」のレビューでは、サラリーマン経営者は創業経営者に勝てないという、三品先生の見解を紹介したが、創業経営者ほど、自らの事業に夢中な人は居ないはずである。

ちなみに、「夢中」の話はこちらのエントリーでも触れた。

dai19761110.hatenablog.com

 

そう、「努力は夢中に勝てない」のである。

だからこそ結局は、夢中になれるものを見出す支援をし、それを伸ばす機会を提供し、(結果的に、かもしれないが)なんらかの形でビジネスとして回収していくというのが、イノベーター育成なのだと思う。

 

余談だが、「イノベーター」に関する「使える」表現が本書にあったので、メモ的に記載しておく。

旧来のMBAホルダー的な考え方が、いかに効率的にオレンジからジュースを絞り出すか、だとすれば、イノベーター的な考え方というのは、どうやったら良いオレンジを育てることができるか、ということだそうである。

 

結局、わかったようなわからないような話かもしれないが(苦笑)。

まぁ、ご参考ということで。