人間到る処青山あり

諸々よもやま話(とりあえず)

「21世紀の戦争論」 読了 〜人間は同じことを繰り返す〜

まずはリンク。

 

半藤氏と佐藤氏の共著で昭和史を語るとなれば、それは重厚な議論が期待されるところであり、思わず食指が伸びるというもの。

特に、戦争という極限状況を扱ったものであれば、戦略やマネジメントにも意味のある知見が得られるのでは、という期待感で読んだ。

 

本編は、ノモンハン事件等、昭和史の主要なインシデントを、両著者の膨大な知識をもとに解説していく、というもの。

元は、文藝春秋誌上での対談連載なので、話の流れを追っていくだけで読み進めることができる。

 

ジャーナリスト出身の半藤氏による、関係者へのインタビューをベースにした知られざる事実。

外交交渉の最前線に居た佐藤氏の、深い深い「読み」。

 

高度なエンタテインメントとして十分成立するのだが、戦略、マネジメント論としても期待通り考えさせられる。

既に戦争のルールが変わっているにもかかわらず、自分たちの組織の都合でアップデートできない日本軍。

 

「こと」ではなく、「ひと」のマネジメントに走る官僚組織。

結果、自分たちに都合の悪い事実から目を背け、根拠の無い楽観論で暴走する。

 

暴走して失敗しても、同質化した仲間内での「ひと」マネジメントなので、波風立てるのを恐れて責任の明確化ができず、振り返りも改善もできない。

今更引用もしないが、「失敗の本質」で語られていたことと同じ。

 

しかしこの問題、今も続いてないですかねぇ。

本書でも、同じ過ちは繰り返されるだろう、と断言しているが…。

 

小生も背筋が寒くなったので、ちょっと振り返って改めたいと思う。

まぁ、ご参考ということで。

*1:文春新書

*2:文春新書

*3:文春新書