人間到る処青山あり

諸々よもやま話(とりあえず)

「イギリス近代史講義」 読了 〜賢者は歴史から学ぶ?〜

まずはリンク。

イギリス近代史講義 (講談社現代新書)

イギリス近代史講義 (講談社現代新書)

 

 

長期の戦略を考えるために、定期的に歴史(特に近代史)関係の書籍は当たるようにしていて、講談社のセールの際に買い置きしていた一冊。

島国であり、資源も乏しい中で、どのように世界で覇権を争う近代化が行われたのか、興味があって読んだ次第(昨今話題のブレグジットを巡るドタバタを理解したかったわけではない)。

 

歴史研究というと、一般的には「〇〇の歴史」みたいな形で、特定の「切り口」があるものだと思っていたが、幅広い切り口でさまざまな角度から光を当てることで姿を浮かび上がらせる、というのが、著者の研究の特徴のようだ。

産業革命前夜からのイギリスの歴史を、人口、ファッション、働き方、風俗といった感じで解説していく。

 

雑学好きの小生にとっては、とても面白く読ませていただいた。

供給側ではなく、需要側から考えていくのもまた著者の特徴で、例えばどのようなファッションが流行ったのか、なぜファッションに注目が集まり、需要が発生したのかという解説を通じて、ロンドンの都市化の進展を解く。

 

そして、需要側から考えていくことで、当時の人々を生き生きとした姿で描き出すことにも成功しているのではあるまいか。

最終的に、GDPの減少は本当に衰退と言えるのか、金融やトレーディングは国の産業に本当に貢献するのか、そもそも発展とか衰退とはなんなのか、といった投げかけがされ、なるほど非常に深いところを考えさせられる。

 

それに対して別に答えはないのだが、過去の人間のリアルな営みを踏まえて議論されるので、空虚な数字の話ではなく、本当に目指すべき方向って、どっちなんだっけ、という投げかけに説得力があるのだった。

我が国の将来を考えるきっかけとして読むも良し、単にトリビア的興味で読むも良し、である。

 

まぁ、ご参考ということで。