人間到る処青山あり

諸々よもやま話(とりあえず)

「交渉術」 読了 〜何も特別なことではないが…〜

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交渉術 (文春文庫)

交渉術 (文春文庫)

 

 

おそらくこれもKindleのセールからポチった一冊だと思う。

もはや作家として不動の地位をものにした佐藤優氏の初期の作品。

 

同タイトルの雑誌連載に加筆編集されたもので、対ロシア外交の実務経験から導き出された交渉術が豊富な物量で語られる。

「交渉術」のタイトルに馴染むコンテンツ・Tipsは前半の三分の一くらいで、それ以降は筆者が従事したロシア外交に登場する日露双方の政治家・官僚・民間人との関わりや重大事件の裏側を明かした回顧録というところである。

 

交渉術のテクニックそのものは、面白いと言えば面白いし、実際に使えそうなテクニックもありそうだが、思いの外普通である。

普通のというのは、ビジネスの場面で通常行われることと、特に差異はないのだが、おそらく徹底ぶりが違うのだろう。

 

続く回顧録のほうが、むしろ個人的には大変興味深かった。

実名で登場する人物たちの、本書でなければ知りえないエピソードの数々は、なかなかに読ませるのである。

 

世代的に40代以上じゃないと、ちょっと登場人物に馴染みがなく、深く入り込めないかもしれないが、非常に面白い。

北方四島の返還交渉がまた始まりつつある昨今であるが、国際政治に興味のある向きには、是非一読を勧めたい。

 

まぁ、ご参考ということで。