まずはリンクを貼る。
やっぱこれからは教養だよね、アートだよね、ということで手にした一冊。
雑誌等に連載された美術エッセイを一冊の書籍にまとめたものであり、各章(毎回の連載)で美術が制作された背景を「欲望」として紐解いていく構成なので、非常にとっつきやすい。
個人的に「なるほど、へー」だったのは、芸術家が純粋に芸術として制作された作品というのは実は少なく(ごく近代の話)、誰でも知っている名作でも、それぞれに制作背景があるものだ、ということ。
もちろん宗教画は教義の普及という背景が有り、ルネサンス期の作品はそれぞれのパトロンの権勢を誇るという背景が有り、一見単なる風景画だったとしても、その国の原風景を描くことでナショナリズムを喚起するという目的が仕込まれていたりするのだそうだ。
そういった芸術表現の鑑賞を通じて、その国々、その折々の歴史、社会、人間心理を理解するということが、芸術を嗜むことなのだな、ということを、本書は教えてくれる。
取り上げられる作品自体は、誰でも知っているというものというより、少し珍しいものを、洋の東西や権威的/大衆的問わず、広く紹介してくれているところが、また面白い。
教養・アート系書籍を手にした一発目から、なかなか奥行きのあるところを実感させられる。
これはなかなかに楽しそうな世界である。
折を見て、このジャンルを掘り下げてみたいと思う次第。
まぁ、ご参考ということで。