新規事業の支援(コンサルとはあえて言わない)を生業として、もう何年も経つが、最近ますます悩みが深い。
過去何度も書いたけれど、新規事業というのはそもそも定義からして難しい。
その事業を通じて、どんな未来を目指すのかも、あやふや。
結局は小さく始めて試行錯誤を繰り返すしか、立ち上げの方法論は無いのだけど、それが果たして屋台骨となるレベルまで成長するかは謎。
全く新しい事業なら間違いなく確かなノウハウは存在しないし、どこかから援用するビジネスモデルだったとしても、そのノウハウが今のタイミング、その会社、この競争環境でハマるかはわからない。
事業を立ち上げる土台である会社の力学、経営資源、価値観などは、それこそ千差万別で、一般化は難しいところもある。
そうなると、新規事業にノウハウがあるのか、という疑問が湧くのである。
デジタル大辞泉では、ノウハウを
1 ある専門的な技術やその蓄積のこと。「仕事のノウハウをおぼえる」
2 技術競争の有力な手段となり得る情報・経験。また、それらを秘密にしておくこと。
としている。
https://kotobank.jp/word/%E3%83%8E%E3%82%A6%E3%83%8F%E3%82%A6-179023
定義を読む限りでは、役に立つかはハッキリしない過去の経験を、果たしてノウハウと呼んで良いのか、やや心許ない感じがするのである。
転職活動のノウハウはあるが、その人の職業人生についてのノウハウは存在しない。
異性をデートに誘うノウハウはあるが(大抵イマイチだけど)、誰と人生を共にすべきかのノウハウはない。
魅力的な事業計画を書くノウハウはあるけれど、その会社が取り組むべき新規事業のノウハウは…?
小生が新規事業開発のコンサルティングとハッキリ言いにくい所は、この辺にあるのだと思う。
「秘中の秘」みたいなノウハウがあって、それを伝授して差し上げるのであれば良いのだが、結局は一社一社、一人一人と共に考え、試行錯誤するだけ。
しいて言えば、いろんな会社といろんな取り組みをした場数・経験があるというところ。
その場数・経験を持って、日々クライアントと「ヨーイドン」で走り出す。
それがまた最高に楽しいので、お声がかかる限り走り続けているけれど、クライアントにとっても新規事業はキツい取り組みだと思う。
いくら走ったところで、人生に答えがないのと同様、新規事業にも答えはないのだから。
だけど、ちゃんと蓄積をすれば、間違いなく人も組織も成長する。
結局の所、その成長の可能性を信じることができるか。
新規事業にノウハウがあるのだとすれば、それは「信じること」なのかもしれない。
ってポエムか!
まぁ、ご参考ということで。