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書評等を拝見し、前々から気になっていた一冊。
ゼロから一を作る仕事という意味では、新規事業開発と同じなので、得るものがあるのではと考えた次第。
みうらじゅんという人は、どうしてそんな事に興味を持ったのだろうという不思議なテーマを、不真面目な感じで世に問うていく、というイメージを持っていたが、本書を読んで、ビジネスとしての真剣な取り組み姿勢は、多くのビジネスパーソンが学びとすべきものなのではないかと感じた。
率直に言って、みうらじゅん氏に対する見方が変わった。
ひとりのビジネスパーソンとして、彼が独自の価値を生み出すことに、真剣に取り組んできたことが本書からは伺えるのである。
みうら氏の主な仕事の進め方は、自分でブームを作って、それをテレビなり書籍なりイベントなりで回収していく、というものである。
まず、企画のとっかかりとして、自身で何か違和感を感じたものを、徹底的に収集していく。
コレクションではなく、リサーチとして、「修行のように」集めていく。
小生、新規事業企画で、多くの人が見落としているのがこの「収集」ではないかと感じている。
新規事業のテーマを見つけると、多くの人が「考える」ところから始めるのだが、まず「収集」なのではないかと思う。
テーマに近い事業や業界事情、関係法令など、書籍や一次情報をとにかく「収集」する。
少なくとも会社の中で、そのテーマについて最も詳しい人間になり、テーマに関わる業界でも「新しい事業についてこんなに真剣に調べているのは、自分の他にはあんまり居ないんじゃないか」というくらいまでになった時に、アイデアが「溢れ出す」。
溢れ出してくれば、企画も、営業も、運営も、その先の展開も、自然とついてくるような気がするのだ。
そうやって世に出れば、誰かがまたそれを広めてくれる。
みうら氏は、誰かが広めてくれる、ということについても面白い見解を述べていて、ブームになるときは、「勘違いして」広まっていくのだそうだ。
例えば、「マイブーム」というのは、もともとみうら氏が、「自分でブームにしたいもの」という意味で使っていたそうなのだが、いつのまにか「個人的に流行っているもの」という形で広まってしまった。
こういう勘違いも含めた広がり方というのは、たしかに新規事業でも「ある」と思う。
当初の想定と違うところが「刺さった」なんていうのはザラだし。
他にも「なるほど」「たしかに」というポイントはたくさんあるのだが、キリがないのでこの辺で。
いずれにしても、ルーチンではない仕事に取り組んでいる人は、きっと意味ある気付きが、本書を通じて得られるのではないだろうか。
まぁ、ご参考ということで。