人間到る処青山あり

諸々よもやま話(とりあえず)

「よいこの君主論」 読了

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よいこの君主論 (ちくま文庫)

よいこの君主論 (ちくま文庫)

 

 

よく読むブロガーの方が推奨していたので、ポチった本。

マキャヴェリ君主論を、”こども向け”というテイストに仕立てて解説してある。

 

”こども向け”にしたのは、類書が皆ビジネス向けであるからとか、子供にこそリーダーシップを、というような前書きがあるけれど、単純にオタク系読者を意識した”悪ふざけ”をして、ウケを狙った、というのが正確なところだろう。

小学校五年生のクラスで繰り広げられる勢力争いを舞台に、登場する各”小君主”の振る舞いをケーススタディとして、覇道を志す太郎くんと花子ちゃんが、マキャヴェリ君主論を切り口に”ふくろう先生”から学ぶという構成で、そんな本を小学生が読むわけがない。

 

もう大人だけれど、マキャヴェリ君主論は知っているが読んだことはなく、良さそうなのは理解しているけれど取っ掛かりがない、という人向けの本だろう。

小生もその通りだけれど。

 

本書のウケ狙いが面白いと思えるかどうかは、読者のオタク属性の強さに依存するような気がするが、ケーススタディを中心に、ライトにわかりやすく読めるようにしてあるのは確かなので、「すっ」と入ってくるのは確かだろう。

本書を読んで、「原著にあたりたい」と思ったので、意味のある本だったとも思う。

 

マキャヴェリ君主論は極めてシリアスかつドライであり、一般の人には縁遠いようでいて、しかし人間関係全般に関わるような気がする。

人間生きていれば、職場に限らずなんらかの場面でリーダーシップを発揮しなければならない時というのは存在するもので、そこでの振る舞いとして覚えておいて損はないのではないかと感じたからだ。

 

本書を読んで「なるほど」と思ったことを一つ自分なりにメモをしておくと、「君主は恐れられてもよいが、恨みを買ってはならない」というもの。

恐怖そのもので体制が崩れることはないが、恨みを買ってしまえば覆されるリスクが高まる、ということで、「そりゃそうだ」である。

 

まぁ、ご参考ということで。