人間到る処青山あり

諸々よもやま話(とりあえず)

「この日本で生きる君が知っておくべき『戦後史の学び方』」 読了

長いので後半タイトルは略。

 

池上彰氏の著作つながり。

内容はタイトルそのままなのだが、全三部作の真ん中に位置付けられている、ということは読んでから知った(別にこれだけ読んでも違和感はなかった)。

 

「戦後史」なので、政治経済とテーマは広めだが、55年体制とか、自衛隊はなぜこんな形なのかとか、バブル経済はなぜ起きたのか、というようなことが平易に語られる。

氏の著作は、専門の研究者が専門書として書くのではなく、あくまで一般の人(ジャーナリスト)が解説する分かり易さに特徴があるとされているような気がする。

 

と、されているものの、前回読んだ本と併せて感じたのだが、「解説が分かり易い」というところが、氏の本質では無いような気がする。

確かにわかりやすいのだが、「それ以上でもそれ以下でもない」解説、フラットというか、実際は特別に分かり易くなっているわけでもないと思う(詳しいおじさんに聞けば、十中八九、池上氏と同じような解説をしてくれるのでは、というような解説、とでも言えば良いだろうか…)。

 

むしろ、数多ある事象の中から、特定のテーマを切り出してくるところに、彼の腕があるのではないか。

55年体制の成り立ちそのものを、切り出して解説してもらえる機会が、これまでの人生にあっただろうか?

 

55年体制の成り立ちを知ろうと思えば、あれこれの専門文献に突き当たり、膨大な資料から、朧げに自分の知りたかったことが浮かび上がる、ということが普通なのではないか。

それをいわゆる”勉強”というのかもしれないが、そりゃ時間も労力も大変なのである。

 

膨大な事象の中から、重要なテーマを切り出し、テーマが概観できる解説を加え、その解説を積み上げることによって膨大な事象を”掴める”ようにする。

その編集力に、真骨頂があるのではあるまいか。

 

ジャーナリストの面目躍如と言えば、それまでなのだけれど。

仕事術としても、勉強になるなと思った次第。

 

まぁ、ご参考ということで。