人間到る処青山あり

諸々よもやま話(とりあえず)

「AI経営で会社は甦る」 読了

まずはリンク。

AI経営で会社は甦る

AI経営で会社は甦る

 

 

泣く子も黙る、冨山和彦氏の比較的新しい著書。

Facebookで行為的なレビューを書かれていた友人が何名か居て、とりあえず購入しておいた本。

 

冨山さんといえば、かつて、この本をハードカバーで読んだ記憶がある。

会社は頭から腐る 企業再生の修羅場からの提言 (PHP文庫)

会社は頭から腐る 企業再生の修羅場からの提言 (PHP文庫)

 

 

この本については、ほとんど「タイトル勝ち」だ。

内容はタイトルとサブタイトルが全てだったように記憶している。

 

さて、「AI経営で会社は甦る」であるが、まずタイトルがミスリードだと感じた。

AIも記載があるが、IoTであるとか、冨山氏の持論であるとか、色々と幅広に展開されており、本書の中身を表すタイトルか、というところに、まず疑問がある。

 

冨山氏はもともと、「G(=Global)」と「L(=Local)」という切り口で展開する持論があり(その文脈の大学改革は物議を醸した)、本書でさらに、「C(=Casual)」と「S(=Serious)」という軸を持ち出している。

「G」と「C」の組み合わせである、グローバルなWebのビジネスと、自動運転など「L」と「S」の組み合わせのビジネスは、全く違う価値基準であり、その新しい価値基準に即したビジネスモデルを模索すべきだ、というような主張は、なるほどと思わせるものの、その先の議論の展開がなく、ちょっと物足りない。

 

個人的には「G」と「L」、「C」と「S」のマトリクスを、もう少し深掘りした話を読みたかったのだが、テーマはもっと幅広くなっていく。

研究開発や社会構造、文化等々、パワフルな人物が、「あれもこれも」物申したくなった感があり、散漫とした印象がある。

 

「会社は頭から腐る」および産業再生機構のイメージが、個人的に強かったので、いつからこんな大所高所の話をする人になったんだっけ?という違和感がずっと付いて回ってしまっていた。

語られる内容自体は、小生の理解ではそんなに間違ったことは仰っていないと思うのだが、一つ一つのテーマ全てのご専門ではないはずの著者が、断定的な筆致でバサバサと進めていく展開は、ちょっとザワザワする。

 

率直に言って、一冊の本として論ぜられる内容は深くはないと思う。

どちらかというと、ブログやネットメディアでの連載記事を、編集してまとめた感がある書籍。

 

冨山氏のように影響力のある人物が、2017年時点でビジネスの環境をどう捉えているか、ということを知りたい人には良い本なのではないか。

なお、Amazonのレビューも、久しぶりに見たらあんまり高くない。

 

話題の本でも、少し寝かせておいて買う、というのも正しいのかもしれない、なんていうことを考えたり。

まぁ、ご参考ということで。