人間到る処青山あり

諸々よもやま話(とりあえず)

組織の自己変革は、自らの手によって可能なのか

まずは本記事をご一読あれ。

www.landerblue.co.jp

 

リクルートがネット企業にシフトできたのは、もともと持っていた成果志向と行動が、インターネット時代に適合したから、という分析で、大変興味深い。

非常に納得感がある一方、ではインターネットの時代が到来しなければ、リクルートは生き残れなかったのか、端的に言えば、事業モデルをシフトできたのは偶然の産物なのか、ということを考えてしまう。

 

ここで、もう一つ興味深い資料を提示したい。

http://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/H29/PDF/chusho/04Hakusyo_part2_chap3_web.pdf

 

2017年度版の中小企業白書の一部なのだが、この資料の7ページ「新事業展開の成否別に見た、新事業展開を検討する背景 」というグラフをご覧いただきたい。

ものすごく雑なまとめをすると、「前向きな姿勢は成功しやすく、後ろ向きは失敗しやすい」という感じだろうか。

 

一つ取り上げると、成功企業と失敗企業で最も乖離があるのが、「顧客ニーズへの対応」というものである。

つまり、「顧客起点」で考えられるかが、勝負の大きな分かれ目といっても良い(もちろんそれが全てでは無いが)。

 

逆に、今の事業が厳しくなってきたから、というような「自己都合」のアプローチは失敗しやすいことを示唆している。

リクルートの話に戻ると、先程触れた「成果志向」というのは、顧客にとっての成果志向であり、「顧客起点」と同義である。

 

なので、ネット企業になれるかどうかにかかわらず、新事業を創出し、それに即した組織に自己変革し、高い競争優位性を確保し続けた可能性が、高かったのではないだろうか。

冒頭の記事を読むと、インターネットの登場は、企業のイノベーションを促した面もあるが、寧ろ、リクルートの「顧客起点」という本質的な強さを際立たせ、「顧客起点」ではない企業の退出を早めた方に強く効いたようにも感じられる。

 

イノベーションという言葉には、どうしても新しい価値の創出のようなイメージが付いて回るが、淘汰のスピードを早める効き方もあるのだと思う。

それを考慮すれば、イノベーションが求められる時代にこそ、本質的な強さを追求し、自らを成長させる意思が重要なのではないかと感じる。

 

まぁ、ご参考ということで。