人間到る処青山あり

諸々よもやま話(とりあえず)

「キャズム2」 読了

リンクを貼っておく。

キャズム Ver.2 増補改訂版 新商品をブレイクさせる「超」マーケティング理論

キャズム Ver.2 増補改訂版 新商品をブレイクさせる「超」マーケティング理論

 

 

泣く子も黙る、ハイテクマーケティングの有名本。

1991年初版のようなので、かれこれ四半世紀経過したことになる。

 

「2」となっているが、これは文中で引用する事例を、21世紀に入ってからのものにするべく改定を行なったので、内容そのものは91年と変わっていないそうである。

ご存知ない方のために解説しておくと、市場を正規分布曲線で描いた時に、新しいプロダクトに飛びつく顧客から、イノベーター、アーリーアダプター、アーリーマジョリティ、レイトマジョリティ、ラガードという五つのタイプに分類した上で、アーリーアダプターとアーリーマジョリティの間に横たわる、深い谷を「キャズム」と呼び、それをスタートアップが如何に越えるか、ということについて説いた本である。

 

泣く子も黙ると言いながら、上記五分類は知っていたものの、小生は実際に本を読んだのは初めてで、何故キャズムを超えるのが難しいのか、あまり理解していなかった。

詳細は本書にあたっていただくとして、要するに、キャズムを超える時には、ターゲットとそのニーズが変わるので、それまでの成功パターンを捨てなければならないというマインドチェンジが難しいのと、アーリーマジョリティが求める価値を現実に提供するのが無茶苦茶大半だから、ということだと理解した。

 

そりゃそうだ、と納得である。

超えられないのもむべなるかな、である。

 

一方で、読んでいてふと感じたのは、これは新規事業で起こりがちなフラストレーションと同じであるということだ。

新規事業を提案する側は、まずは立ち上がるために、初期市場と呼ばれるイノベーター、アーリーアダプターにフォーカスした事業計画を作る。

 

しかしそれを評価する側は、主にマジョリティ向けのビジネスをやってきた人達で、その事業計画がどうにも受け入れ難い。

その行き違いの挙句、双方でフラストレーションを貯めるという事例を散々見てきた。

 

しかし、お互いを非難しても仕方がないし、分かり合えないと諦めても前には進まない。

本書を読んで、両者の間では、見えている世界観が違うのだけれど、事業の成長ステージ(対象顧客)、即ち時間軸の問題として整理していけば、折り合いをつけられるのかもしれない、そんな気付きが得られた本であった。

 

およそ「事業計画」と名の付くものに関わるひとは、一度読んでおいて損は無いと思う。

まぁ、ご参考ということで。