人間到る処青山あり

諸々よもやま話(とりあえず)

試合とKPIと

武道なんかに取り組んでいると、いろんな流派の人と、様々な関わりを持つようになる。

様々な武道が、それぞれの技術体系と文化を持っているのだが、皆が常に試行錯誤しているのが、「試合」との向き合い方である。

 

武道が想定する戦いの場面というのは、再現性がなく公正性も無い世界で、そんな中で自らの流派の技術レベルを測るのが、本来の試合の位置付けである。

しかし、試合というのは結果がはっきりしていて、その結果で選手の評価も明らかになってしまう以上、試合に勝つことが目的になりやすい。

 

元々は技術レベルを測る「手段」だったものが、取り組む人が全て目指すべき「目的」に変わってしまうのだ。

武道に取り組む多くの方が、手段が目的にすり替わる懸念を感じながらも、わかりやすい評価基準である試合を、どう整理するのか日々試行錯誤しているのが現実だ。

 

さて、この試合であるが、ビジネスにおけるある概念とよく似ていると思っている。

それは何かというと、KPI(Key Performance Indicators)である。

 

KPIは、ビジネスで目指すべき最終的な成果を獲得するための指標でしかなく、そういう意味では「手段」だ。

しかし、ガチガチのマネジメントをしていると、いつの間にかKPIの達成が目的になってしまいやすい。

 

もちろん、最終的な成果を問われるのが現実とはいえ、KPIを達成していなければ(試合に勝たなければ)何を言っても「綺麗事」というのは、よくある話ではなかろうか。

そんな現実に対して、何か有効な手立てを持っているわけでは無いが、試合で実績を出しながらも、手段が目的化することに関しては、積極的に異議を唱えるというのが、最大限の良心ではないかと思っている。

 

ちょっと残念かもしれないが、出発点はそこではないだろうか。

まぁ、ご参考ということで。