エージェントを初めて2〜3年の頃だったろうか。
当時お会いして、今も親交のある方から、「エージェントの仕事は程々にして、いずれは別の仕事にチャレンジした方がいいよ。エージェントの仕事は、色々深い話を知り過ぎて、なんでもわかった様な、耳年増になってしまうからね。」と言われたことがある。
エージェントを長く続けるべきではない、という意見には反論が多くあるだろう(小生もその後何年も続けたし)。
しかし、なんでもわかった様な気になるから注意しろ、というお話は、本当に深く心に刺さった。
実際エージェントの仕事というのは、どこにも書かれていないビジネスの裏話が満載だからだ。
なるほどと唸らせる、成功譚もあれば、誰もが知っている有名企業の信じられない様なゴシップとか、それこそ「インサイダー情報」どころの話ではない。
だからこそ面白いのだが、ネガティブな裏話も多いので、エージェント業もだんだんこなれてくると、「この人(この企業)、こんなにカッコいいこと言ってるけど、実際はどんなもんだろうね?」と身構える癖がついてしまい、動きが悪くなって業績も頭打ちになり…、そんなタイミングの小生に頂いた言葉が、冒頭の「耳年増になるな」というものだった。
今の仕事もそうだが、外部から人や企業に関わる仕事というのは、どんなに工夫しても、相手の一部しか見えていない。
なので、たとえネガティブな情報が入ってきても、人によって見解は異なることだってある。
もちろん、致命的なネガティブ情報がある中での取引は厳禁だが、時間をかけ、多面的な見方をしながら相手を理解することを心がけ、決して足を止めない姿勢が大事なのではないかと考えている。
言い換えると、わかったつもりにならず、わかっていないかもしれない、という学びのスタンスは決して崩さず、それでいて無知ではないし、経験から学ばない訳でもないし、知恵者ぶって動かないのではなく、運動量を落とさない。
若い頃に頂いたアドバイスは、今そんな形で、小生の行動を規定している。
本当に感謝。
まぁ、ご参考ということで。