人間到る処青山あり

諸々よもやま話(とりあえず)

その会社に行く理由とは?

しばしば、コンサルティング会社の方々から、同業他社の人材を積極的に採用したい、という相談を受けることがある。
小生はその領域の経験があまり無いので、いつも困るのだが、なぜ困るかというと、転職希望者から見たときに、同業(競合)他社に「行く理由」を設計し難いからだ。

年収を上げる?
同じような仕事をしてきて、今後も同じ仕事をするのに、口説きの材料として年収を上げるというのは、先々無理が出てくるように思う。

職位、タイトルを上げる?
これも年収と同じ話で、仕事が変わらないののに、職位が上がるというのは、後々歪みが露呈するような気がする。

職場の人間関係のリセット?
今の職場の人間関係が微妙で、新しい環境に移るとするのなら、現状がよほど酷くない限り、新しい環境で改善されるかどうかは不透明だ。

そして上記はともかく、年収や職位を理由として移る前提だとして、今の職場で評価されている人間であれば、早晩年収も職位も上がるはずなので、採用企業にとっては、年収も職位も上げたのに、大して評価されていない人材を掴んでしまう、という事になりやすい。
もちろん、ある会社で評価されていない人間が、別の会社で高評価を受ける、ということはあるけれども。

そうなると、同じコンサルティング業でも、クライアントとの関わりがもっとハンズオンなのだとか、こんな面白いクライアントの、こんな面白いプロジェクトがあるのだとか、組織がまだ新しいので、ステップアップのスピードが速いとか、「仕事」という意味ではやや副次的な、定性的な理由を「行く理由」とせざるを得ない。
そしてこのような副次的な理由は、2〜3年もすれば状況が変わっているかもしれない、流動的な内容であることが多い。

そんなことを踏まえて、転職希望者はどのように判断するのか、ということになる。
これは同業他社に移る、それも比較的プロフェッショナルな世界の話ではあるが、普通の事業会社への転職でも、要は同じだと思っている。

「その会社に行く理由」とは何なのか?
将来性も含めた、年収なのか、職位なのか、伸びる業界に移ることなのか、あこがれなのか、はたまた色々なもののリセットなのか?

十人十色だとは思うが、その辺りを整理した上で、その「理由」はずっと継続するものなのか、一時的なのか、いわゆる「うまい話」ではないか、などを検証されると、自信を持って新しい環境に臨むことができ、仮にその環境に変化があっても、オロオロすることは少ないのではないかと思う。
まぁ、ご参考ということで。