小生はもっぱら成功報酬型のエージェントだったが、リテイナーの人たちは、採用企業から着手金をもらい、転職マーケットにいない優秀層を「探しに行く」ビジネスをしていて、彼らの決まり文句は、転職を考えてエージェントに登録しているような人材は、現職で評価されていない人だから、「真に優秀」とは言えない、ということが多い。
その決まり文句の是非はさておいて、リテイナーの先輩とオフサイトで話した時に、先輩はこう言った。
「その業界でちゃんと仕事をして、評価されている人であれば、業界での立ち位置も見えているはずだし、自分にどんなオポチュニティーがあるのかなんて、言われなくてもわかるはずだ。なのにエージェントに相談なんかしちゃって、ましてやそのエージェントに『ここ受けなさい』なんて言われて納得しちゃうっていう発想がわからない。」と。
その話を聞いて小生は、正直なところ、確かにそうだよなと思った。
会社の外に無頓着な人というのもいるけれど、ライバルと競争しているわけだから、ちゃんと客観的に自分を見ることができている人なら、自分の仕事の業界内での相対的な位置付けはわかってしかるべきだ。
もちろん、成功報酬型エージェントの醍醐味の一つは、本人が思ってもみなかった活躍の機会を創造することでもあったりするので、先輩の発言に対する意見はあるんだけれども。
しかし、それにしても、「何か無いかなぁ」という、ある面何も考えずに転職の機会を探る、というスタンスはやっぱりおかしいと感じていて、今今まで自分がやってきた仕事が、客観的にどんな価値のあるもので、それを活かすにせよ、殺すにせよ、どんなオポチュニティーがありうるのか、という自分なりの基本線を持っていないと、なんだか訳のわからないキャリアになってしまうと思うのだ。
「これしかない」と凝り固まる必要はないけれど、「大筋こうなるのが良いはずだ」という基本線を持った上で、それを超えるサプライズをエージェントから引き出せると、面白い転職活動になるのでは無いかなぁと。
エージェントにとっては大変だけれど、転職希望者の期待を超える提案を出すことも、仕事の面白さだったりするので。
あくまで自分なりの(とは言えその仕事の「プロ」としての)見立てと、そのプロの見立てを超えるエージェントのプロとしての提案、そんなやりとりは、とてもワクワクするんじゃないだろうか。
まぁ、ご参考ということで。