人間到る処青山あり

諸々よもやま話(とりあえず)

「若い読者のための経済学史」 読了 〜別に若くないけど〜

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若い読者のための経済学史 (Yale University Press Little Histories)

若い読者のための経済学史 (Yale University Press Little Histories)

 

 

イェール大学の名を冠した、タイトル通りの本。

「学史」となっているが、古代ギリシアからトマ・ピケティに至るまで、主な経済学者とその学説、時代背景を概観させてくれる。

 

小生は経済学をちゃんと学んだことは無いのだが、日経新聞を読めるレベルで十分理解出来る内容である。

裏を返せば、ちゃんと学んだ人にとっては簡単すぎるのかもしれないが、一つの学説に囚われず、その前後の流れを理解しておくことは、きっと意味があるのではなかろうか。

 

きっとイェール大学では、専門に入る前の一般教養として修めておく内容なのだろうと推察した。

少々長いが、経済学の全体像をつかむことが出来る良書かと思う。

 

まぁ、ご参考ということで。

 

シニアマーケット雑感

今日、たまたま某百貨店の新店舗に、友人とランチをしに行ったわけです。

11時40分くらいだというのに、客単価二千円超の店に列ができていて、60歳オーバーだとみられる男女がずっと待っています。

 

我々もそのうちの店の一つに並んだのですが、まぁ待ちます。

食べるのがゆっくりなので、回転しないんですね。

 

回転率が上がらないから単価を上げざるを得ないのか?と思わず思ってしまうくらいです(後で食事をして、もちろん単価に見合った内容だったことは補足しますが)。

で、列の前にいるスーツ姿の初老の男性が、待ち時間の間に読んでもらうためのメニューを手にし、店員を捕まえて散々問いただすわけです。

 

「え?何グラム?150グラム?え?」「え?何ご飯?青じそご飯?え?白いご飯と選べるの?」

「大盛りは選べるの?いくら?え?タダなの?!え?お代わりできるの?!おー!」

「こっちは何書いてあるの?」

 

全部書いてあるんだから聞く前にまずちゃんと読めよ、メニューこっちまで回ってこねぇじゃねえか、店員さんも忙しいんだぞ、なんていうことは一切考えず、あぁ食欲旺盛で素晴らしいですねと感じた次第です。

中に通されてみると、やはり同じような客層の皆様が沢山いらっしゃって、食べ終わって片付けられたのに何するでもなく佇む一人客や、我々が席に着いた時には半分くらい食べ終わっているのに、我々が席を立つ時にもまだ食べているご婦人方とかだったりして、普段の我々の生活圏からは異世界な感じが満載です。

 

そんな風景を眺めて感じたのは、こういうお客さんを相手にする商売も大変だなぁという思いより、単に小生の直感でしかないのですが、これはリテラシーと能動性の問題なのではないか、という仮説です。

この百貨店の近隣は、安くて美味しい店が幾らでもあり、そのあと河岸を変えてうまいコーヒーをのんびり飲める店だってあります。

 

調べればわかることだし、食べたあとだって、見所、行き所は沢山あるので、佇んでなくたっていいわけです。

実は可処分所得は多くないのに、調べる能力と意欲がない故に、手近な高級店の外のベンチに座り、席が空くまで待ち続け、オススメされるままにただ食べて、することがなくなったから席を立つ、そんな受け身のシニアの姿を見るのでした。

 

「実は可処分所得は多くない」と思ったのは、彼らの雰囲気もありますし、結局百貨店の中で買った何かの袋を下げている人が全然居ないからです。

もちろん欲しいものが無いのでしょうが、無駄遣いする意欲と余力がなければ、「可処分所得は多くない」というのと殆ど同じことだと思います。

 

「アクティブシニア」をターゲットにした事業プランは、まだまだ見る機会が多いですが、「そんな人はどこにいるんだっけ?」「こういう人たちをアクティブシニアって言うんだっけ?」ということを考えさせられたランチタイムなのでした。

まぁ、ご参考ということで。

 

 

 

「ビジネスフレームワーク図鑑」 読了 〜ビジネス百科事典〜

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ビジネスフレームワーク図鑑 すぐ使える問題解決・アイデア発想ツール70

ビジネスフレームワーク図鑑 すぐ使える問題解決・アイデア発想ツール70

 

 

出張の途上に、駅の本屋さんで手に取り、「これは使える」と即買いしてしまった次第。

新規事業でも業務改善でも良いのだが、問題を発見し、解決策を練り、如何に評価し、改善していくか、また、人を巻き込み、プレゼンする までの、一連のプロセスにおいて活用できるフレームワークを、カラフルなグラフィックと共に、使い方・要点・更に良くするための「問い」までが見開きでまとめられている。

 

じっくり読み込むための本というよりは、自分の知識を確認しながらざっと目を通し、時に応じて使うための本だろう。

そういう意味では、普段から手元に置いておいて、事典のように使うものだと想う。

 

モヤモヤしている時に、なんか良い解き方がないかなぁ、と考えながらパラパラめくっていき、やってみるという感じではないだろうか。

もちろんクライアントとの仕事で使っても良いと思う。

 

事業企画の職にある人、経営企画系の仕事に取り組んでいる人、何か会社に提言したいと考えている人は、是非手元に置いてみてはいかがだろうか。

まぁ、ご参考ということで。

 

 

「もう一つの幕末史」 読了 〜有為な人材は如何に見出されるか?〜

まずリンク。

 

日本史関係では結構有名な著者による一冊。

現代の日本で教えられている幕末史は、あくまでも政権を奪取した薩長の視点のものであり、それに対するアンチテーゼとしての歴史観を提示している。

 

この「歴史観」という言葉、普通に日本の学校教育を受けてきた小生にとっては、大学時代に「中国法」という単科の講義を受講したことで初めて理解し得たのだが、歴史というのは、あくまで当時の為政者が自己の政権基盤を正当化し、盤石にするためのフィクションという場合があり、そのような背景も踏まえての「歴史観」という用語であることを、まずは理解していただきたい。

本書の著者は、一般に流通する幕末史を、あくまで薩長連合から説明した歴史観とし、違う観点から説明することを試みている。

 

内容の是非は、ご一読いただいて判断してもらうとして、著者は勝海舟に対して特に強い思い入れがある。

思い入れのある著者からの勝海舟の伝記を聞けば、読者も当然感化されるものであるが、個人的に考えさせられるのは、勝海舟も含め、異端の人材が何故こうも幕末期に出現し、活躍したかということ。

 

思うに、時代の転換期というのは、「優秀さ」の定義が変わる時代だと思うのだ。

徳川太平三百年の中で存在しなかった逸材が、動乱期にあたって見出され、各々活躍するという事態は、むしろそれまでの尺度では優秀とされなかった人材が、社会環境の方が変わることによって活躍の場を得る、ということなのではないか。

 

偶然優位な人材が、幕末期に集中して発生するとは考えられないのである。

何故こうも幕末期に優秀な人材が排出されたのか、という問いを本書も立てているが、むしろ、たまたま社会の変換期にあり、それまでの尺度であれば埋もれていた人材に脚光があたったのだと考える方が自然ではなかろうか。

 

そんなことを踏まえると、今日のように「優秀さ」の定義が変わる時代においては、如何に多様な人材を抱え、時に応じて適した人材がリーダーシップを取るということが、どれだけ大事か、すなわち、結局は真の意味でのダイバーシティを構築することでしか、組織の競争優位性や成長性を確保する術は無いのだ、ということを思い知らされるのである。

幕末史が大好きなオジサマたちにこそ、現代の坂本龍馬を安直に待望するのではなく、真の意味でのダイバーシティの意味を理解してもらいたいと思う一冊であった。

 

まぁ、ご参考ということで。

 

「イタリア 24の都市の物語」 読了 〜かくも宗教的か〜

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イタリア 24の都市の物語 (光文社新書)

イタリア 24の都市の物語 (光文社新書)

 

 

やっぱ一般教養だよねーと手にした一冊(意味不明)。

西洋美術史、特にイタリアを専門とする著者による、タイトル通りイタリア24都市の歴史や見所を順に解説してした本。

 

イタリアの都市?

ローマ、フィレンツェヴェネツィア、ミラノ、ナポリトリノジェノバアマルフィ、中田が所属してたのどこだっけ…あぁペルージャ

 

残念ながらこの辺が限界であるので、24の都市ということで、当然知らない名前も多く出てくる。

それぞれに、普通の日本人では知らない歴史や文化遺産が紹介されており、非常に興味深い。

 

しかし彼の国の歴史と文化というのは、つくづく宗教の歴史と文化と言って良いのだなと感じる。

もちろん日本においても宗教的なバックグラウンドはあるけれども、世俗の文化の厚みがそれなりに存在するわけで。

 

この辺の宗教観だったり、文化、教養の前提となる部分が、きっと彼我で大きく違うのだろうなと想像させられる。

そんなことも踏まえると、ますます各国の歴史と文化には興味をそそられるのである。

 

ちなみに本書は、各都市の見目麗しい景観がカラーで挿入されているので、それだけでもまた楽しい。

電子書籍iPhone SE で読んでいる小生にはあまり有り難みはないけど。

 

まぁ、ご参考ということで。

「人事と採用のセオリー」 読了 〜鉄板の実務書〜

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人事と採用のセオリー 成長企業に共通する組織運営の原理と原則

人事と採用のセオリー 成長企業に共通する組織運営の原理と原則

 

 

本書は、リクルート出身で、人事コンサルティング会社を営む著者による一冊。

経営、特に人事の分野では新しいブームが定期的に訪れるが、著者はそういったブームに流されることなく、原理原則に則った人事運営を推奨していて、本書ではその考え方と実務ノウハウを、余すことなく披露している。

 

人事系の本は、どうしても内容が評価や報酬などの制度論か、社風のような目に見えない要素に議論が偏りがちになり、新しいブームが来るたびに一応学習しつつも、「ほんとに(うちの会社で)役に立つのかなぁ・・・?」と感じるもの。

本書に関しては、人事の業務を「採用・育成・評価・報酬・配属・代謝(退社)」の6つの要素に分解し、それぞれを連携させた制度設計と運用を、各企業のステージに応じて展開していくことを推奨しており、極めてわかりやすく、奥行きの深い理論となっている。

 

まさに人事とは「経営そのもの」ということを思い知らされるのだが、それゆえに本書のノウハウを実践しようとすると、経営のあり方自体が問われるし、特に「代謝」は「退職率の設計」というあまり日本企業では馴染みのないことまで考えなければならないので、経営の本気度が問われるのだろうと思う。

本書の中に、「制度で人を変えることはできない。もともと社員が持っていたものを、制度で具現化するのだ」という趣旨の文があり、安直な評価/報酬制度の導入に警鐘を鳴らすとともに、ポテンシャルのある人材を採用するところから組織を設計することの意義を説いている。

 

 

人事の実務に携わる方にとって、今日からすぐに使えるノウハウが満載であるが、むしろ人事実務と携わらない、経営企画、経営そのものを担う方々に、ぜひ読んでもらいたい一冊である。

こんな本が、わずか2000円弱で読める我々は、世界の中でも最も恵まれた存在であると思い知らされる。

 

まぁ、ご参考ということで。

 

好きなタイプ

別に恋愛の話ではないよ。

それなりに長く生きていると、好きな人のタイプというのは、友人関係でもビジネス上の付き合いでも、いろいろ出てくると思う。

 

嫌いなタイプの話をしだすと、大抵の人は「世の中全般で嫌われるタイプ」に集約されると思うし、小生個人もそこはあまり変わらない。

脱線するが、「人の好き嫌いをあまりしない」と自称するタイプの人のほうが、好き嫌いは激しいんじゃないかと思う。

 

転職エージェントなんて、人の好き嫌いをしなければしないほど、ビジネスとして広がりが出るはずなのだが、業界の中にいると結構好き嫌いが激しい人が多いような気がする(全くの私見)。

「個人としての好き嫌い」と、「ビジネスとして付き合いたい」「決まる/決まらない」は別、ということかなと。

 

で、小生の好きなタイプだけれど、一言で表現すれば「不器用な人」である。

ニッチな領域や専門分野で高い能力や感性を発揮している人は、更に大好物である。

 

「そんな凄い力があるんだから、もっと上手くやればいいのに〜!」と思ってしまう人である。

小生でお役に立てるのであれば、「もっと上手くやる」お手伝いをすることもあるし、ただ会いに行って話を聞くだけのこともある。

 

ただ単純にそういう人が好きなので、「金になる」とかならないとかは関係ないのである。

好奇心が刺激されて、自分が役に立つことで自己充足感もあるけれど、マニアックな話を延々聞かされている瞬間は、何者にも代えがたい喜びだったりするのである。

 

そういうことを振り返ってみると、案外昔から変わっていない好みだったりするし、今の仕事もそれに近いといえば近いんだよね。

キャリアのためにも、人生のためにも、どういう人が好きなのか、そんなことを今一度振り返ってみてはいかがでしょうか?

 

まぁ、ご参考ということで。