人間到る処青山あり

諸々よもやま話(とりあえず)

「短くても伝わる文章のコツ」 読了

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博報堂スピーチライターが教える 短くても伝わる文章のコツ

博報堂スピーチライターが教える 短くても伝わる文章のコツ

 

 

毎日のブログ修行を行なっているのもそのためなのだが、コンサルタントという仕事には、文章を書くという行為が宿命として存在すると思う。

そんな中で、良い文章を書くインパクトというのは計り知れなくて、思わず本書を手に取った次第。

 

小生は厚顔無恥なので、こんな本のレビューであっても、良い文章を書くことにプレッシャーを感じたりしないわけだが、博報堂のコピーライターが、短めの体裁の本書にちりばめてくれたエッセンスは、非常に良いものが多数あった。

なるほどと思ったところをメモ書きしておくと、

・三つに絞り、さらにその中の一つに絞ることで、インパクトを出す

・なんでも40字程度(10秒程度)にまとめる=「昔々浦島が〜絵にもかけない美しさ」まで

5W1Hは桃太郎で=「昔々」「あるところに」「おじいさんとおばあさんが」「居ました」

・出版業界では「最初の一行でこの本を買わせ、最後の一行で次の本を買わせる」=サンドイッチ

・接続詞に「が」を使わない

など。

 

他にもたくさんあるのだが、ここから先は是非ご一読を。

全体を通して、つくづく感じるのは、シンプルにするという行為は、形式を繕うのではなく、本質を追求することなのだ、ということ。

 

この、「研ぎ澄ます」とでもいうような仕事の凄さは、多くの人に共感してもらえたらなと思うし、裏を返せば、「研ぎ澄ます」プロセスが無い仕事は、いくら積み重ねても経験にはならないのだ、ということもまた然り、である。

自戒を込めて。

 

まぁ、ご参考ということで。

 

「楽しい場」を作れなければ上手くいかない

普通の仕事もそうだし、新規事業においてもそうだけれど、日々の業務の環境というのは、とても大事である。

上手くいくことばかりではないけれど、かといってそれで辛くなったり、必死じゃなければ生き延びられない「場」というのは、長く続くわけがない。

 

そんなの当たり前じゃないか、と皆思うだろうけど、じゃあ「あなたの職場や毎日の仕事は楽しいですか?」と聞かれて、イエスと答えられる人はどれくらいいるのだろう。

多分我々は、おかしいと思ってもだんだん慣れてしまう生き物なので、当たり前がわからなくなってしまうのだと思う。

 

「いやいや、仕事にはライスワーク(食うための仕事)とライフワークがあって、ライスワークの方は仕方がないんだ」とおっしゃっる向きもあるかもしれない。

でも、食うための仕事だから、嫌な思いをしなきゃいけないという必然性もないと思うんだよね。

 

だから、「気分の悪いことが続くけど、なんかおかしくないか?」と気づかなきゃいけないし、気づいたら何かを変えるタイミングなのだよ。

スティーブ・ジョブズの話みたいだけれど(笑)。

 

もう一つは、新規事業に取り組む人もそうだし、仕事の「場」を管理運営する人は、そこにいる人が「楽しい」と思える「場」を作らなければ、上手くいかないということだ。

「楽しい場」には、人が集う。

 

人が集えば、優秀な人も集まるし、成長のアイデアも、苦境の打開策もきっと生まれてくる。

集う人たちが、モチベーション高く居続けることができ、組織としての競争優位になる。

 

「楽しい場」といっても、もちろん甘やかすということでもないし、ましてや場の皆で飲みに行くことでもない。

そんなのは人事組織系の専門書に幾らでもあるので、そちらを参照いただくとして、いかに「楽しい場」を作れるか、というのは、もっと真剣に取り組まれて良いと考えている。

 

https://www.mag2.com/p/news/369534

こんな記事も読んだりして、これは子供のスポーツの話題だけれど、「苦しいのになんでやるの?」というイタリア人の指摘は、ほんとその通りだと思うよ、と。

 

まぁ、ご参考ということで。

 

 

「生きている会社、死んでいる会社」 読了

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泣く子も黙る、遠藤功先生の近著である。

コンサルティング人生の集大成というわけではないのかもしれないが、数十年に渡る経験をもとに、あるべき会社についての指南をされている。

 

「生きている会社」には、熱+理+情=利があり、それを支えるのはミドルアップダウンであると説かれる。

「そうなんでしょうねぇ」と納得しつつも、重たい投げかけだなぁとミドルは思うに違いない。

 

もう一つ、重要な示唆をされていて、個人的にはそれが大事なのではないかと思うのだが、「生きている会社」には、「代謝」の仕組みがある、ということである。

つまり不要な事業なりなんなりを捨てる仕組みである。

 

捨てないから停滞するのであって、重荷が外れれば飛躍するのであると。

不要な事業を捨てるのは、ものすごく抵抗があるのが常だが、かといって実行不可能かと言われればそうでもない。

 

究極はやるかやらないか、だけである。

むしろ、「熱+理+情=利」をミドルアップダウンで実現する方が、結局どうすれば良いのかわからないのではないか。

 

いや、今の日本の企業の問題の殆どは、時代の変化を受け入れず、対応する努力もしない事業・人間が、退場させられないことに起因するのではないか。

代謝」については、真剣に考える時期が、またぞろやってくるのではないかと考える次第。

 

まぁ、ご参考ということで。

 

「1000億円のブームを生んだ考えぬく力」 読了

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1000億円のブームを生んだ 考えぬく力

1000億円のブームを生んだ 考えぬく力

 

 

故あって”ふるさと納税”を諸々調べており、手にとって一気読みした次第。

本書は、実質的にふるさと納税をここまで普及させた立役者の一人である、トラストバンク社(「ふるさとチョイス」運営)の創業者によるエッセイである。

 

自伝的要素あり、立ち上げ秘話的な内容あり、仕事術あり、という内容。

ゼロから市場を作るダイナミズムというのは、やはり面白いし、一方で理詰めではなかなかチャレンジ出来ないな、という忸怩たる思いも。

 

ただ、これは小生も新規事業の伴走で気にしていることでもあるのだが、須永氏は、「人が集う旗を立てる=人の心を動かすテーマかどうか」を強く意識しているようである。

それなくしてマネタイズは無い、というスタンスは、強く同意したい。

 

また、須永氏の地方創生にかける意欲、真剣に事業に向き合う姿は、是非見習いたいものである。

須永氏は創業前まで、数多くの仕事を経験したそうだが、その中に婚活アドバイザーの仕事があったそうである。

 

不器用だった男性が、経験を重ねて無事ゴールインした喜びが、「ふるさとチョイス」を通じて各自治体が新たな創生のステージに立った喜びの原点かもしれないと振り返っていて、人生何が役に立つかわからないと思いつつ、とても面白いお人柄なのだろうと感じさせる。

上手くまとまらないのだが、地域創生に興味のある方、新規事業・起業に興味のある方は、一度目を通してみてはいかがだろうか。

 

なんというか、楽しいインド映画でも観ているような感じで、一気読みであった。

まぁ、ご参考ということで。

 

 

「どこでも誰とでも働ける」 読了

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仕事術と転職が組み合わさってしまうと、そりゃ小生の大好物なので、読まざるを得ない。

最初に総括してしまうと、筆者の述べるスタンスや技術というのは、その通りであると思うし、僭越ながら小生も同様のことを実践している。

 

小生なりに簡単に言えば、「いつでも声がかかるようにしておく」ということである。

声がかかるためには、

・何で声をかけたら良いかがわかりやすい

・声をかけやすい敷居の低さ

・声をかけるに値するだけの能力

プラス、具体的なニーズは無くとも、接点を持っておきたくなるような、諸々の魅力があればなお良い。

 

本書では、そういったことに資するテクニックや考え方が述べられている。

これらのことは、ある意味プロフェッショナリズムと同義だと思うのだが、そういう意味では、プロと呼ばれる仕事をしてきた人にとっては、ずいぶん前から常識とされる部類のノウハウだと思う。

 

時代の流れと共に、いわゆるホワイトカラーのゼネラリストにも、そういったノウハウが活きる環境が整ってきたということかと思う。

では、ホワイトカラーのゼネラリストが、皆そういったテクニックを身に付け、「どこでも誰とでも働ける」状態を目指すべきか、筆者のように転職するしないに関わらず、情報収集も兼ねて毎年転職活動をすべきかと言われれば、小生はなんとも言えない。

 

こういった働き方をした方が、間違いなく能力は高まるし、仕事は楽しいと、小生も実感を込めて申し上げるが、思い入れのある組織に属し、人から指示を受けるのが心地良いというのも、多くの人にとって確かな実感かと思う。

仕事を通じて何事かを成し遂げたい、さらに言えば、他者からの評価にかかわらず、自分自身を高めることに興味がある人には、刺さる本なのではないか。

 

まぁ、ご参考ということで。

「外資系コンサルの知的生産術」 読了

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仕事術系は、まぁ読まねばなるまい。

今の仕事の肩書きも”コンサルタント”だし。

 

本書の著者である山口氏には、「外資系コンサルのスライド作成術」という名著もある。

外資系コンサルのスライド作成術【合本版】

外資系コンサルのスライド作成術【合本版】

 

 

この本を小生が読んだのは2017年だったと思うが、同年のNo.1ビジネス書だと思っている。

ものすごく明快で使えるテクニックの連続でありながら、スライドでプレゼンテーションすることは、いかに本質を見極めるか、ということでもあるということを教えてくれ、大変勉強になった。

 

その本の著者と同一人物であることは、実は読み始めてから気付いたし、別件でクライアントと議論しているテーマの中でも引用されていて、どうも山口氏ブームが小生の中で来ているようである。

それはともかく、仕事術系の本はかなり読んだが、本書についてはその中でも、高く評価したいと思う。

 

・いかに「行動」に落とし込むか

・いかに良い問いを立てるか

・いかに整理して伝えるか

・いかにストックを厚くするか

 

本書の章立てと別に、ざっくりまとめるとこの辺になると思う。

「考え(方)ではなく行動」、「答えではなく問い」というのは、小生も普段から意識しているのだけれど、特にストックを厚くする(知的ストックを厚くする)ということについては、激しく同意したい。

 

アウトプットはインプットの量に比例するというのは、ここ数年本当に嫌という程思い知らされている。

だから、いかに「仕組みとして」インプットを増やして行くか、というのは非常に重要なのだが、本書にはそのヒントが沢山詰まっていると思う。

 

コンサルタントという肩書きに関わりがなくとも、知的生産に関わる職業の方であれば、一読しても損はないのでは。

小生も今一度読み返そうと思っている。

 

まぁ、ご参考ということで。

 

 

 

人が集まり育つ仕組みを持たなければ、企業は成長しない

昨日のエントリは、優秀な人材の競争優位性みたいな言葉で締めてしまったが、これからの組織は、ますます優秀な人材の確保が、経営の鍵になっていくのだと思う。

まずもって明らかなのが、マクロ的な人材不足である。

 

そして、既存事業が衰退衰退する中では、新しい価値を生み出すことができる人材が必要になると思うのだが、そういう人材は、計画的に育てるのが難しく、ポテンシャルのある人材を確保し、トライアンドエラーで「育っていく」という育成の方向になるのでは、という仮説を持っている。

 

欧米のプロ経営者みたいなものに近いのかもしれないが、育成の考え方が、スキミングというか、多産多死というか、モデレートな表現が思いつかないのだが、少数を丁寧に育成するというより、常に一定のボリュームで人材を受け入れつつ、成果を出してお互いにフィット感があった人間だけが残っていき、そうではない多くの人材はまた転職していく格好になっていくのではないか。

既存のオペレーションを軸にした会社であれば、「何をもって優秀というか」を定義することは出来るだろうし、「どうやって優秀な人材を育成するか」もデザイン出来ると思う。

 

しかし、新しい価値を生み出すことが中心になる組織では、その組織での優秀さは定義し難いし、出来たとしても一般的な優秀さに収斂してしまう。

であれば結局、たくさん受け入れて、たくさん出ていく、という組織にシフトせざるを得ないのではなかろうか。

 

そうなると、採用に関する考え方も、育成の取り組み方も違ってくるはずで、採用は短期集中ではなく、放っておいても外から人が集まり続ける仕組みが必要だし、育成も教育というよりは、本人の裁量が発揮できる形で実務を経験させ、その結果を持って育成とするようなイメージだろうか(何を学んだかを追うのではなく、仕事の成果から育ったか努力を要するのか判断するというような、プロスポーツ選手のイメージである)。

一部ブランド企業は別として、殆どの会社にとって、いかに人を惹きつけられ、機会を提供できるか、その仕組みを構築することが、早急に求められているのではなかろうか。

 

まぁ、ご参考ということで。