人間到る処青山あり

諸々よもやま話(とりあえず)

駄目なら駄目と言うのも優しさのひとつ

なんというか、世の中色々と「優しい」人が増えてきているような気がする。

はっきりしたことを言うと、パワハラといわれるのではとか、不確実な時代の中で断定的な物言いもしにくい、という迷いだったり、あくまで発言した本人の自主性を尊重したい、という配慮もあったりするのだと思う。

 

しかし、立場のある人間が、部下に対してそのような配慮をしてしまうのは、時として害悪しか産まないのではないかと感じることもある。

部下になるような若い人間は、往々にして「生き急いで」いて、結果を渇望していることが多い。

 

そんな人間に、あえて判断を迷わせるような示唆をしてしまうと、混乱して大きなストレスになってしまう。

寧ろ明快に指示を出し、結果については上司が責任を負う格好か、やり方はほぼ任せて、本人への結果責任を問う、という状況の方が、嬉々として業務に邁進し、結果につながり、創意工夫の詰まった仕事になるのではないだろうか。

 

そのあり方の一つが、駄目な行い、アイデアに対して、はっきり駄目出しをしてしまう、ということでもあると考えている。

「もう少し深掘りしてみては?」「違う可能性も検討してみたら?」というツッコミは、優しいようで本人はかなり迷う。

 

本人も確信が持てず、「捨てるか」「残すか」という逡巡を繰り広げている中で、「もっと迷え」と言っているに等しい。

なので極端だが、「全然ダメ。金の匂いがしない。文句があるなら違うアイデアを持ってこい。」と言って、本人の迷いを断ち切ってあげるのも、マネジメントの大事な仕事だと思うのだ。

 

本当に可能性があるのなら、断ち切ってもどこかで復活するし、ダメなら所詮それまででしかない。

駄目なら駄目と言う、勇気が必要だが、その相手のために大事なアクション。

 

まぁ、ご参考ということで。

 

 

「働く目標を持つこと。自分の意志で働くということ。」

少し時間が過ぎたが、今日はこの記事を共有したい。

https://www.businessinsider.jp/post-34789

 

泣く子も黙る(?)有名プロ経営者二人の対談である。

対談そのものは、20代〜30代に向けてとあるが、誰が読んでも良い内容だと思う。

 

働くってなんだ、という文脈の中で、タイトルの言葉が出てくる。

目標がなければ、そのための努力もないし、その努力を支える自分の意志も発生しない。

 

逆に自分の意志がなければ、そのための努力もないし、目標も生まれてこない。

そういう意味では、目標と意志は表裏一体ではないかと思う。

 

小生が20代〜30代の頃に、目標があったかと問われれば、記事の二人のようにあったとは言い難い。

一応、「仕事の上での能力を高める」というという意志だけはずっとあったが。

 

しかし振り返れば、その意志の先に「もっとこうしよう」という、当時はそれと意識していなかった「目標」が生まれた瞬間があり、一気に仕事が面白くなっていったのだと思う。

若い人が、いきなり「目標を持て」と言われても、簡単ではないだろう。

 

しかし、自分の意志を持つところから、目標が生まれることもある。

そうなればしめたもの。

 

今までと同じ仕事や環境が、一気に楽しいものに思えてくる。

どうせなら楽しく仕事をしたい。

 

対談の末尾にある通り、人生は短いのだから。

まぁ、ご参考ということで。

中途採用でリスクを負うのは誰か?

売り手と買い手をつなぐ、いわゆる「マッチングビジネス」という類型がある。

人材紹介業もそうだし、その他の転職メディアや不動産メディアの類もそうだ。

 

このビジネスの顧客は誰かと言えば、お金を出す側、人材紹介業であれば、採用企業である。

では、採用企業側に最適化したビジネスモデルにすれば、上手くいくかというと、そうならないところに、このビジネスの面白さと難しさがある。

 

片側を向いたビジネスを作っても、反対側も増えなければマッチングは起こり得ないので、結局は両面を向いたビジネスを作らなければならないのだ。

なので、「採用企業も、人材も」ということになる。

 

ちょっと面白いのは、所謂狭義のヘッドハンティングビジネスは、基本的に採用企業に向いたビジネスだと思っていて、一義的には「マッチングビジネス」ではないと言える。

で、「採用企業も、人材も」に戻るが、個人的な信条・心情としては、人材紹介業というのは、「顧客は採用企業だが、人材の為に頑張るビジネス」と捉えて取り組んできた(今はほぼやってないけど)。

 

異論があるのは承知しているし、顧客である採用企業にも申し訳ない部分は否めないのだが、中途採用でリスクを負うのは、やはり雇われる側・一個人の人材であり、リスクを負う側の立場で支援をしなければ、持続的に「採用企業も、人材も」という枠組みを構築できないと考えるからだ。

もちろん、ミスマッチが発生した時に、企業にだって手痛いダメージがあることは重々承知している。

 

しかし企業のダメージは、時間と新たな人材の採用で解決できるが、人材の失敗はずっと記録として残り、消えることはない。

もちろん、双方のためにミスマッチは万全を期して避ける努力をしなければならないが、更に人材にとって極力リスクをヘッジできる「建てつけ」をアレンジすることが、小生としてとても大事にしていることである(今はほぼやってないけど)。

 

まぁ、ご参考ということで。

 

 

実体験で初めて気付かされること

最近、「電話が厄介だ」という論調が増えて来ていることをご存知だろうか。

https://www.businessinsider.jp/post-34949

 

小生の実体験としても、実際に電話の利用機会は減っている(仕事の電話と会食の予約の電話が同量くらいではないか?)。

メールは以前から変わらず使っているが、Facebookメッセンジャーskype、chatworkあたりで結構なコミュニケーションが片付いてしまう。

 

そうなってくると、リンクの記事の通り、実は「厄介な」ものだったのだなと気付かされ、ますます使わなくなっていく。

で、チャットやメールが主流になってくると、簡潔かつ正確に意図が伝わる文章を意識するようになるので、更に効率が上がっていき…という展開。

 

最近はもっぱら、相手との距離を縮めたい時くらいしか、こちらからは掛けないのではないだろうか。

小生が携帯を初めて持った20年前は、「流行りに乗って携帯買ったけど電話がかかって来ない」なんていう皮肉があったくらいだから、当時は「掛かってくれば嬉しいもの」だったのだ。

 

もし、チャットやメッセンジャーが生まれなければ、きっと今も電話は「掛かってくれば嬉しいもの」だったはず。

つまり、具体的な体験や物を見せられた時に、人は初めて今の状態に問題があることに気付かされる、ということである。

 

チャットを使わなければ、きっと電話が実は「厄介」であることを永遠に気づくこともなく、逆にチャットの利用体験無しに電話の「厄介さ」を語られても、きっと共感を呼ばなかったであろう。

昨日のエントリで書いた、市場調査の話にも繋がるのだが、新しい概念やニーズというのは、斯様に具体的なものを市場にぶつけて初めて顕在化する、ということが往々にして存在する。

 

机の前でウンウン唸ったり、それっぽいフレームワークで議論をすることには、限界がある。

なので、早期にプロトタイプ(チラシでも良い)を元に、市場の評価に晒されることが、とても大事なのだ。

 

まぁ、ご参考ということで。

 

 

 

 

市場調査についての諸々(雑感)

新規事業開発でも、転職先探しでも一緒だと思うが、その市場が伸びているのか、というのは重要なポイントとして語られることが多い。

しかしこれは結構難題である。

 

既に出来上がったビジネスで、業界シェア上位の会社であれば、その市場動向から各種投資判断を行う意味は非常にあると思う。

しかし、市場規模に比べてシェアが小さいプレーヤー(一桁パーセント以下)とか、新しいアプローチで切り込もうとしているプレーヤーにとっては、市場調査のメリットは薄いように感じている。

 

自社の事業規模に比べて大きすぎる市場は、戦略に対する示唆を何も与えてくれないし、成長性が高いマーケットは競争も激しいからだ。

インドの市場が日本の十倍の人口規模で、なおかつ成長しているから参入しましょう、といったところで、「じゃあどうやるの?」「どうやって競争に勝つの?」という当然の疑問は解決しない(逆に、既にインド市場の20%のシェアを持っていたとすれば、調査の重要性はご理解いただけると思う)。

 

まして、新しい市場を創ろうとする試みであれば、当たり前だが存在しないので調査のしようがない。

なので、とりあえず市場調査の手順としては、まずググることから。

 

そこで一定の肌感覚を掴み、検索からでて来た有料の調査を必要であれば購入する。

手っ取り早いのはその辺り。

 

新規事業開発については、アイデアを高速でPDCAにかける必要があるので、お金のかからないレベルの調査と、顧客を中心としたインタビューでスピードを上げていくことが大事なのだと思っている。

ただ、新規事業開発の市場調査については、別のアングルがあって、会社の偉い方々が、その事業の可能性が見えにくい時に、もっと「市場調査」をせよ、という指示を発せられるケースがあるとも思う。

 

そういった場合は、可能な限りの調査や推論による論証をしつつも、色々な手段で事業の可能性を「共感」してもらえる工夫も必要だと考えている。

最後は蛇足だが。

 

まぁ、ご参考ということで。

 

 

 

振り回されるな、振り回せ

電通鬼十則ではないのだけれど、振り回される仕事は苦痛だが、振り回す仕事は楽しいのだ。

まぁ、振り回すという表現はちょっと上からだし、マウンティング感があって好きではないが、多くの人に動いてもらう、というイメージが近いかな。

 

部下から上司への「報連相」なんていうのもあるけれど、報連相の極意は、上司から「あれ、どうなった?」って聞かれる前に、先読みしてやることだと思うのだ。

「あれ、どうなった?」って聞かれている時点で、主導権は上司の側にあり、どんなに優れた回答をしても、回答を評価する権限を上司に与えてしまう。

 

上司の心の準備が出来ていないタイミングで報連相を行えば、それにどんなリアクションをするか考えるのは上司のタスクであり、部下はそのリアクションに応じて動き方を変えれば良い。

そのアクションの違いは、仕事の面白さを180度変えると思っていて、仕事が嫌な人ほど、振り回される側、余計苦痛な側に回りがちなので、本当に不幸だと思っている。

 

慣れるまではちょっと大変かもしれないが、いかに「振り回す」か、意識したことがない方は、考えてみても良いのではないだろうか。

まぁ、ご参考ということで。

 

客を選ぶ

小生はこの十年以上、同じ美容師さんに髪を切ってもらっている。

その間、他所で切ってもらったのは、スケジュールの都合で一回だけだったと思う。

 

表参道の駅から十分くらいの立地の店で、もう十数年、ほぼ一人で経営している。

お世話になったきっかけは、仕事の関係で紹介を受け、「是非一度カットに来てくださいよ〜」「ホントですか?ほんとに行っちゃいますよ〜」「えぇ是非是非〜」みたいな感じで通い始め、仕事もプライベートもいろいろあったが、かれこれ十年を超えるお付き合いになったわけだ。

 

最近になって何気なく、「そもそもなんでこの場所でお店を始めようと思ったんですか?」という投げかけをしたのだが、「コンサルタント」などという肩書きの小生が、自らを恥ずかしく思うくらいの、経営の本質が語られていくことになり、深く感銘を受けた次第。

美容師さん曰く、「何処かの住宅街で、オバちゃんの愚痴や世間話に相槌を打ちながら、髪を切ってお金をもらうことは全然できたと思うんですよね〜。でも私は自分の技術とセンスで勝負したかったし、それを認めてくれるお客さんと、良い仕事がしたかったんです。だからそういうお客さんが居る、この場所になっちゃったんですよね〜」とのこと。

 

なんて正しい戦略なんだと、その時点で感動である。

続けて出て来た言葉に、小生は衝撃を受ける。

 

「こんな小さなお店だから、紹介のお客さんしか来ないんですよ。でも、親しいお客さんの紹介でも、最初の電話で『ところでお幾らなんでしょうか?』って聞いて来る人は、お断りしてるんです。わかっている人は、こんな場所でこんなことやっていれば、大体幾らくらいかなんてわかるでしょ?お金の話をして来る人っていうのは、結局高いか安いかでしかでしか判断しない人なんですよ〜。だから、わかっている人に、最高のサービスを提供して、思っていたよりも安いお金を提示する、それが喜んでもらえるし、正しいあり方だと思うんです」と。

ぐうの音も出ない。

 

小生も初めて伺う際、「表参道で一人でやっている孤高のプロか…。一万は超えるだろうけど、二万はいかないだろう…。でも念のため財布には十万入れておこう」ってな感じだった。

会計の際、実際は近所の美容室と全く変わらない金額提示で、「えっ!!こんなんじゃ申し訳ないですよ!」「いやいや良いんですよ〜、〇〇さんのご紹介ですし〜」ということになり、結局十年リピートして今に至るわけだ。

 

そのお話を聞き、なるほどそういうことだったのか、と深く納得したのである。

客を選ぶことで、良いサービスを提供することができ、客も満足し、こちらも長いお付き合いを継続することができる。

 

本当の意味でのウィンーウィンの関係がそこにある。

なかなかできることではあるまい。

 

まぁ、ご参考ということで。