人間到る処青山あり

諸々よもやま話(とりあえず)

耳年増になるな

エージェントを初めて2〜3年の頃だったろうか。

当時お会いして、今も親交のある方から、「エージェントの仕事は程々にして、いずれは別の仕事にチャレンジした方がいいよ。エージェントの仕事は、色々深い話を知り過ぎて、なんでもわかった様な、耳年増になってしまうからね。」と言われたことがある。

 

エージェントを長く続けるべきではない、という意見には反論が多くあるだろう(小生もその後何年も続けたし)。

しかし、なんでもわかった様な気になるから注意しろ、というお話は、本当に深く心に刺さった。

 

実際エージェントの仕事というのは、どこにも書かれていないビジネスの裏話が満載だからだ。

なるほどと唸らせる、成功譚もあれば、誰もが知っている有名企業の信じられない様なゴシップとか、それこそ「インサイダー情報」どころの話ではない。

 

だからこそ面白いのだが、ネガティブな裏話も多いので、エージェント業もだんだんこなれてくると、「この人(この企業)、こんなにカッコいいこと言ってるけど、実際はどんなもんだろうね?」と身構える癖がついてしまい、動きが悪くなって業績も頭打ちになり…、そんなタイミングの小生に頂いた言葉が、冒頭の「耳年増になるな」というものだった。

今の仕事もそうだが、外部から人や企業に関わる仕事というのは、どんなに工夫しても、相手の一部しか見えていない。

 

なので、たとえネガティブな情報が入ってきても、人によって見解は異なることだってある。

もちろん、致命的なネガティブ情報がある中での取引は厳禁だが、時間をかけ、多面的な見方をしながら相手を理解することを心がけ、決して足を止めない姿勢が大事なのではないかと考えている。

 

言い換えると、わかったつもりにならず、わかっていないかもしれない、という学びのスタンスは決して崩さず、それでいて無知ではないし、経験から学ばない訳でもないし、知恵者ぶって動かないのではなく、運動量を落とさない。

若い頃に頂いたアドバイスは、今そんな形で、小生の行動を規定している。

 

本当に感謝。

まぁ、ご参考ということで。

 

 

 

ちゃんと偉い人と会話してますか?

お陰様で色々な会社からご相談を受けるわけです。

殆ど新規事業テーマだけれど、時に制度設計だったり、人事制度だったり、社内政治だったり、ビジネスプランそのものだったりする。

 

いい加減なやつだと思われたくはないし、一番避けたいのは「あなたがコンサルしてきた会社とウチは違うんです」という線引きをされてしまうと、歩み寄れなくなってしまうので、クライアントにあんまりこういうことは申し上げたくないのだが、「なんでそんなに難しく、めんどくさいことするかなぁ〜…取り敢えずやってみたらええやん!!」と言いたくなることは、ままある。

やったことがないから新規事業なのに、どうしてそんなに確実性を求めるのだろうか?

 

異性と付き合ったことのない人間が、デートのマニュアル読んだって上手くいかないし、現実は「想定外」だらけだから面白いんでしょう?

新規事業は未来に向けた種蒔きだと思えば、子育てと一緒なわけで、子供なんか親の思った通りに育ってくれないでしょう?

 

イノベーションを計画できると思っているのだろうか?

未来を予測できると思っているのだろうか?

 

実務担当の方々と、そんな内容でぶっちゃけトークをすると、だいたいみんな「そうなんです、仰る通りなんです、でもウチの偉い人は全然わかってくれなくて…」というやり取りになる。

でも、あえて外部のコンサル目線で思ってしまうのは、それこそ「ほんとかなぁ…?」と思うことがある。

 

だいたいの「偉い人」というのは、優秀だから偉くなった確率がやっぱり高い。

そういう人からすれば、単純に提案の中身がお眼鏡にかなっていないのかもしれない。

 

不確実性にチャレンジするんだから読めないものは読めない、という話を、膝詰めで話しきれていないのかもしれない。

もっと偉い人の決裁を取れる様、最も良いタイミングを見計らってくれているのかもしれない。

 

会社を動かすことに関して、転々流れてきた小生が申し上げるのもおかしいのだが、自分の意志を通すために、身近な偉い人と、本音で、膝詰めで、ちゃんと話しているだろうか?

実際、膝詰めで会話してみると、「なぁーんだ」なんていうこと、個人の経験としても、クライアントとの事例でも、良くありますよ。

 

ちゃんと偉い人と会話してますか?

まぁ、ご参考ということで。

 

大企業の人は変な劣等感を持つことはないと思う

それなりの年数社会人を続けていて、しかも10年以上ベンチャー企業(あえてスタートアップとは言わない)界隈をウォッチしている。

今はこの十数年で3回目くらいのベンチャーブーム、起業ブームの様に思うが、底堅く盛り上がり続けている。

 

底堅いのは、株式市場が底堅いのもあるし、政府の後押しなんていうのもあるけれど、既存大企業がベンチャー企業に出資したり、買収したり、事業提携をしたり、というトレンドが続いていることが大きいと思う。

裏を返すと、小生の本業が忙しいのとも関係するが、これまでの事業モデルでは、これから先の時代を切り開いていくのは厳しい、という大企業側の危機感のあらわれでもある。

 

その流れがあってか、最近の大企業の人と話をしていると、随分自信なさげな人が増えた様な気がする。

もはや「スタートアップじゃない私たちはイケテナイ」くらいのトーンを感じる。

 

しかしそこは、過剰な思い込みであって、長く見続けてきた小生の立場からすると、大企業にもベンチャー企業にも、それぞれ良いところと悪いところが当然あるのだが、今の世の中的には、ベンチャー企業の良いところにやや光が当たっているだけだと思う。

そこがわかっていないと、ベンチャー企業との関わり方を失敗してしまうし、大企業の良さを見ずに、悪いところばかりフォーカスしてしまい、本来できることもできなくなってしまう。

 

大企業の人の高い問題意識が、かえってイノベーションを阻害する様なことにならなければ、と余計な心配をしてしまう今日この頃。

まぁ、ご参考ということで。

成長に管理が追いつかないのが「成長期」

成長する企業には、人材のニーズが多くて、エージェントとしては良くお手伝いをさせていただいていた。

小生のクライアントは、上場準備会社であることも多く、企業としての成長と、「社会の公器」としての管理体制作りと、二兎を追わなければならない実態であった。

 

そんな場面で、「成長も管理もバランス良く」なんていう話をせざるを得ないのだが、それはある種の綺麗事であって、「何も言っていない」に等しかったりする。

そもそも企業の成長期というのは、(多少優先度は落ちるものの)管理体制をないがしろにしているわけでも無く(上場準備会社であればなおさら)、それなりに取り組んでいるのだが、その体制を上回る成長が進行し、追いつかないというのが実態ではないだろうか。

 

人が急に増えてマネジメント体制を整えなければならないとか、大手企業と取引が始まり複雑な契約を交わさなければならなくなったとか、営業拠点を増やすのにどうしたらいいのか、等々。

将来を見越して体制を整え、その通りに成長するなんて、予知能力があるわけじゃるまいし、不可能に近い。

 

肉体の成長期に、「足だけ伸びてくれ〜!」とか、「ヒョロヒョロじゃなくてガッチリに!」などと願っても、その通りにはならないわけで。

結局のところ、伸びることによる成長痛に対処する形で、対症療法的に組織を構築するしかなく、やれるとしたらもっと大きくなった時のために大きめの服を買っておこうとか、また買い換えなきゃいけないから、最低限のもので行こうとか、そんなことを考えながら動いていくしかないのではないだろうか。

 

まぁ、ご参考ということで。

 

見えない成長市場は本当にあるのだ

新規事業のお手伝いをしていると、これから伸びる分野は何処か、という議論になる。

議論しているだけでなく、色々な話を聞きに行ったり、アンテナ高く情報収集をしていると、ある関係者の中では有名な成長市場だったり、ニッチだけれどちょっとネットで調べれば出てくるトレンドというのが、結構あるのだ。

 

今週、小生が関わり、見聞きしただけでも、

・レジに連動したプリペイドカードのビジネス(コンビニでたくさんぶら下がっているアレ)

・中国の消費市場(今まさに世界最先端になりつつあると思う)

・中国の現地企業に対するコンサルティング

・日本の新しい図書館の市場

・新しいコインランドリーの市場

規制緩和領域(グレーゾーン領域というと、「黒っぽい」イメージがあるが、正確には「白とも黒とも定義されていない領域」という表現が正しいと思う)

・オリンピックを機にもたらされる、グローバルなCSRCSVについてのレギュレーション(このままだと、選手村の食事に日本農業の生産物が提供できない可能性が示唆されている)とその対応のトレンド

・遠隔医療(既に日本国内で、民間企業が実現している)

といった具合だ。

 

これ全部、程度の差はあれ伸びている市場だし、盛り上がりつつあるトレンドである。

どうだろう、まだまだ見えない成長市場は、たくさんあるのではないか?

 

というわけで、今日も引き続きお仕事である。

有り難い限り。

 

まぁ、ご参考ということで。

 

わからなければ人に聞く

わからなければ人に聞く。

今日は、最も当たり前だけど、最も強力な方法論を、改めて思い知らされた一日であった。

 

前にも書いたが、悶々としている状態、理解できない状態というのは、自分(達)の中に答えが無いということなので、そのまま思索や議論を続けていても、ほぼ前に進むことはない。

そういう時に、他人に相談に行くと、思いもよらない角度から、極めて有効なアドバイスを貰えたりするものである。

 

それはもう、「あっさり」というくらいである。

コツがあるとすれば、適切な人に話を聞きに行くことくらいだが、これもまた、「どんな人が適切なのか」ということをアレコレする必要もなくて、「一番話を聞きたい人に聞きに行く」で良い。

 

「一番話を聞きたい人」で大体思いつく人というのは、知見、能力、人格の総合判断でリスト上位ということなので、インタビュー相手としてほぼ間違いない。

もし仮に、直接の面識がなかったとしても、これだけソーシャルメディアが普及した時代、誰か共通の友人は居るものだ。

 

つくづく良い時代になったものである。

会えたらあとは簡単。

 

一生懸命お話を聞き、心の底からお礼を述べる。

それでも感謝し足りなければ、別途お礼の機会を何かアレンジすれば良い。

 

まぁ、ご参考ということで。

 

 

 

 

趣味を仕事に生かす

何度かコメントしているが、小生は高校生の時から武道を学び始め、二十数年を経た現在もずっと稽古を続けている。

今も武道が本業だと思っている(世間的には趣味と言うべきなのだろう)が、今日はそのあたりと仕事との関わりの話を。

 

それこそ若い頃というのは、アイデンティティそのものも不安定だし、社会人としてちゃんとやっていけるか不確かな中で、武道を研鑽しながら、「なんとはなれば、こちらで一流を目指せば良い」という、拠り所であり逃げ場でもある役割を果たしていたのは確かだろう。

一方で、武道というのは、それそのものがビジネスパーソンとして役に立つことは、ほぼ無い(あったら問題だ)。

 

その面では、ゴルフをやっていた方がよほど役に立つとずっと思っている。

副次的には、日本の伝統がベースにある一方、多くの人はよく知らない世界なので、話のネタとして生きることはある(外国の方と接する機会が多ければ、より生きるのかもしれない)。

 

一般的にはざっとそんなところだろうが、ここから先は小生が個人として意識していることを。

武道というのは、ある歴史的背景をもった技術体系なのだが、それに取り組むということは、歴史的背景を通じて大袈裟に言えば、「人間とは何か」「文化とは何か」を理解することであり、技術体系の体現を通じて「学びとは何か」「成長するとは何か」を体感することであり、いずれも武道以外(もちろん仕事にも)に展開できる筈だと考えている(少なくとも小生の師匠は、それを伝えようとしてくださっていると思う)。

 

もう一つは、「姿勢」である。

よく、二十数年続けていることをご評価いただく機会が多いのだが、個人的には長く続けていること自体に全く意味はないと思う。

 

大事なことは、続けて行く中で進歩しているのかどうかであり、進歩のない継続は単なる習慣でしかなく、それだけの姿勢で日々向き合えているのか、というのは、小生自身まだまだ甘いと考えている。

また、武道特有の要素として、社会的に人格者であることを期待されているので、「流派の看板を背負っている」というのはあまりに僭越だが、「やっぱり武道をやっている人はちゃんとしてるんだね」と言われる程度の姿勢は求められていると自覚しているつもりである。

 

そういう意味では、武道を通じて、仕事も含めた「ことに向き合う」姿勢というのは、醸成された面は否めない。

ともかく、たとえ趣味と言えども、向き合い方次第で色々な活かし方があるのだと思うのだが、いかがだろうか。

 

まぁ、ご参考ということで。