人間到る処青山あり

諸々よもやま話(とりあえず)

同業他社への転職と産業構造の話

今日はこの記事を是非シェアしたい。

https://www.genius-japan.com/blog/toshiba

 

ヘッドハンティング会社の方が、今話題の重電メーカー人材の行く末を論じている。

後半の転職の心構えや、変革期のリーダーシップの話も、示唆に富んでいるので、転職をお考えの方は、その程度の如何に関わらず、目を通しておいて損はない。

 

個人的に小生が言及しておきたいのは、その重電メーカーの方が同じ産業内で転職するとしたら、どこの会社に行くか、という話。

お読みいただければわかるが、あんまり無いのである。

 

経営史を少し紐解けばわかるが、余程下手を打ったり、不祥事を起こしたりしたので無い限り、ある会社の業績が悪化した場合、だいたい同業他社も似たり寄ったりのことが多い。

つまり、その会社が属する産業の転換期のシグナルとして、業績悪化が露呈する。

 

その際にどんな手を打てるかで、もちろん未来は変わるのだが、経験を生かせる同業他社を狙っても、そのタイミングでは、求人が殆ど無かったりするのだ。

10年くらい前に、レコード会社が大量にリストラをしたことがあり、エージェントとして何人もの方とお会いしたが、皆さん転職には本当に苦労された。

 

御察しの通り、同業のレコード会社で中途採用をされている人は皆無だったからだ。

何れにしても、産業構造の転換期には、周到に準備して異業種に移るか、そのまま留まるかという、まぁまぁ根性のいる決断が有力な選択肢となる。

 

まぁ、ご参考ということで。

 

キッチリ詰めるとパンクする

こんな記事があって。

http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/column/17/022700049/030700008/?ST=spleaf

 

東大の西成先生という人は、流体力学の知見から、「渋滞学」という本を書いた人である。

渋滞をしないためには、各車両が40mの車間距離を保つ必要があるというのが結論であったかと思う。

 

なぜかというのは、上記リンクでも片鱗がわかるけれど、詳しくは本を読んでいただきたい。

さて、昨今の残業規制の中で散々言われつつあるが、業務を減らさずに、効率化だけで残業を減らすことは無理がある。

 

流体力学、渋滞学的な観点からは、効率化だけで業務量を追求するのは、ギリギリの車間距離で高速走行を続けるようなもので、それはメタ安定という状態であるものの、何かの弾みで一気に渋滞し、動けなくなるそうである。

工場で稼働率を100%にすると、機械が壊れてしまうので、稼働率70%でメンテナンスを挟んだ方が効率が良い、という話も出てくるが、この辺はまさに働き方の話そのものではないだろうか?

 

皆さんは適切な「車間距離」を保っていらっしゃるだろうか?

個人的には、睡眠時間は6時間を確保しないと、体調不良になるリスクがあるので、死守することにしているのだが。

 

まぁ、ご参考ということで。

新天地に臨む若者に幸あれ

縁あって、色々とお話を伺っていた若者が、4月から新しい会社に移ることになった。

移るまでの色々な悩みはお聞きしていたし、決断してからのアレヤコレヤ(現職の引き継ぎも、新天地での導入も)もお聞きしたが、とにかく新天地で成功し、人としての幸せを、より高めてもらいたいと切に思う。

 

新しい環境に適合できるか、今まで経験したことが役に立つのか、不安は幾らでもあるだろう。

とはいえ、経験者として採用されていることもあるし、過去の経験をベースに「私は出来る」とハッタリをかましつつ、裏でこっそり必死に勉強するようなこともあれば、新卒同様に虚心坦懐に臨む場面もあるだろう。

 

なんせ、新しい環境、新しい仕事、新しい出会いというのは、それだけで楽しみではないか。

変なプレッシャーを感じるのではなく、できる限りその新しい環境を楽しんで、できる限り一生懸命頑張っていただき、自分の人生を作り上げていただきたいものである。

 

新天地に臨む若者に、幸あれ。

まぁ、ご参考ということで。

何かに自信を持つことはいいことである

巷ではこんな本が話題だそうである。

https://www.amazon.co.jp/筋トレが最強のソリューションである-マッチョ社長が教える究極の悩み解決法-Testosterone-テストステロン/dp/4426608376

 

もっとも、小生の「巷」がどうかしているのかもしれないが…。

個人的に、Amazonのレビューで4.5以上にハズレはないと思うので、きっと意味のある本なのだろう。

 

タイトルでご興味を持たれた方は、当該書籍のAmazonレビューとか、著者のtweetなんかを見ていただければと思うが、筋トレをすることで、仕事や人間関係などの人生の悩みが解決した、というものである。

 

ネット上のコメントにもあったが、職場で嫌な上司がいても、「最後は力任せで排除できる」と心の中で思えるだけで、随分と楽になった、ということだそうである。

大変に不穏当であるが、仕事をしながら武術を続けてきた小生としては、言わんとすることはわからないでもない。

 

実際に力任せな解決をすることはないとしても、それが安心や自信につながり、精神の安定や身体の健康、そして良い仕事として反映されるのであれば、悪いことは何もないわけで。

筋トレに限らず、心の拠り所になる何かを持っているのは、仕事外であっても大事なことである。

 

というより、仕事で自信なさげな人ほど、仕事外での拠り所もないような気がするのだが、いかがだろうか?

まぁ、ご参考ということで。

 

転職エージェントも含めたマッチングビジネスと、自分のキャリアを何処まで第三者に預けるか、という話 その7

今日は、双方代理の功罪について、だ。

双方代理というのは、M&Aや不動産の世界で出てくることが多い概念だが、一人のプレイヤーが、売り手と買い手の代理人を同時に勤める状態を指す。

 

M&Aの世界では、日本の中では良くあるし(業界最大手がそうだ)、不動産も仲介業務は双方代理であることが多いのだが、M&Aについて言うと、グローバルでは双方代理はあまり一般的ではないと認識している。

何故なら単純な話、利益相反の誹りを免れ得ないからだ。

 

売り手と買い手の利害は相反する。

片方はより高く、片方はより安く、と考えている中で、どちらかの代理人であれば、そのどちらかの意向を受けて代理すれば良いものの、双方の代理というのは、「お前どっちの味方なんだよ?」という状態が構造的に存在するということだ。

 

これが、罪の面である。

一方で、功は何か?

 

個人的な意見だが、昨日のふわっとしたニーズの話が代表で、皆が皆、代理人に取引を委任できるほど、はっきりと自分の意思を持っているとは限らない。

しかし潜在的には、厳然と取引の意向がある中で、売り手と買い手の双方のニーズを理解した代理人が、ふわっとした話をまとめ切ることで、そのままでは成立しなかったビジネスを成り立たせることができる、ということがあると思う。

 

もちろん、本来は成立すべきでなかったディールまで、力のある代理人がまとめてしまい、関係者が不幸になるという事故のリスクもあるのだが、確率論的には取引が成立することのベネフィットの方が大きいのではないだろうか。

転職エージェントについていうと、「片手と両手(両面)」なんていう言い方をして、一人が企業もしくは転職者だけの担当をするか、両方担当するか、という状態を表すのだが、一つの法人として、企業と転職者の担当をしているので、双方代理になる。

 

転職エージェントに相談をするときは、双方代理の功罪を、よく考えて臨むのが良いと思う。

特に、功の方で言及したものの、「本来成立すべきでなかったディールで不幸になるリスク」というのは、転職者がキャリアという取り返しのつかない要素を取引に晒している以上、慎重に見極めるべきだろう。

 

シリーズが長くなってしまった。

まぁ、ご参考ということで。

 

 

転職エージェントも含めたマッチングビジネスと、自分のキャリアを何処まで第三者に預けるか、という話 その6

では、転職エージェントに、どのような「投げかけ」を行うのか?

前回の「相応しい転職者」像で考えると、 「この先ちょっとどうしたらいいのかなぁ」というところが、一番聞きたいところだろう。

 

もちろんそんな相談はケースバイケースだし、エージェントも答えを持っているとは限らないし、自分の人生なのだから、自分で決めるべき、というのが大前提なのだが。

しかしそこは相談のテクニックがあって、論点を整理して相談するのが良いと思う。

 

エージェントに相談できるのは、

・今の市場動向

・類似キャリアの年収水準

・類似キャリアの「よくあるキャリア展開」

・「転職べからず集」的な知識

 

あたりで、

逆に、エージェントに相談してもしょうがないのは、

 

・自分はどうしたいのか、という指向性

・何を善とし、何を悪とするのか、という価値観

・キャリアの問題と関係ない人生相談(意外と居る)

 

であろう。

大抵のエージェントは、人の役に立ちたいと思っているし、転職という人生の特殊な状況に寄り添うプロなので、経験豊富で殆どの相談に付き合ってくれると思うが、そこはそれ、節度を持った方が、お互いのためだろう。

 

その限りで、ご自身の望む限り、広めに相談して見て良いのだと思っている。

シリーズが長くなってしまったが、「双方代理」という論点についてだけ、コメントしておきたい。

 

続きます。

転職エージェントも含めたマッチングビジネスと、自分のキャリアを何処まで第三者に預けるか、という話 その5

ということで、転職エージェントを含めた「マッチングビジネス」を成立させる要件を、三点に整理した。

では、転職を考えている人で、エージェント等の第三者に相談をするのが相応しいのはどんな人で、どんな「投げかけ」するのが良いのだろうか?

 

改めて要件を整理すると、①「取引のインパクト」が大きいこと、②「情報収集のコスト」が大きいこと、③「購買決定要因が曖昧であること」、と述べた。

それを転職者の位相で捉えると、

①「取引のインパクト」が大きいこと

→大抵の転職活動は、人生を左右する決断になるので、「取引のインパクト」は大きい。

そういう意味では、皆エージェントに相談する価値はあると思うが、例えばバイトから正社員になるとか、超ブラック企業から逃げ出すとか、失うものが無いステータスの人は、「取引のインパクト」は大きくないので、エージェントに相談する必要は無いのかもしれない。

 

②「情報収集のコスト」が大きいこと

重要なのは「深さ」と申し上げたが、端的に表現するなら、ポジションやミッションが重い転職であれば、「浅い」情報では進むか留まるかの判断は出来ない。

いわゆる「プレイヤー」「Job型」のポジションであれば、ネットや求人票レベルの情報で判断がつくので、相応のポジションの転職者の方が、エージェントを利用すると良いシーンが多くなるのではないだろうか。

 

③「購買決定要因が曖昧であること」

一般的には多くないが、キャリアビジョンがクリアな人は、そのキャリア構築に向けて自ら動いていくだけなので、少なくともエージェントに対して「相談」という格好にはならないと思う。

自分のキャリアストーリーに資する案件があるかないか、という限りでお付き合いすることになるだろう。

 

ということで、「もう絶対に辞めてやる」と言う程ではない勤務状況で、「ぺーぺー」と言う程でもないポジションにあり、「この先ちょっとどうしたらいいのかなぁ」というステータスの方が、エージェントとやり取りをするのに向いている、ということになるかもしれない。

もちろん、それ以外の方だって、エージェントを使っていいと思うし、こんなステータスの人でも、エージェントが応えきれないことはあるのだが。

 

その上で、どんな「投げかけ」をするのか、ということに関しては、また次回としたい。

続きます。