人間到る処青山あり

諸々よもやま話(とりあえず)

何かに自信を持つことはいいことである

巷ではこんな本が話題だそうである。

https://www.amazon.co.jp/筋トレが最強のソリューションである-マッチョ社長が教える究極の悩み解決法-Testosterone-テストステロン/dp/4426608376

 

もっとも、小生の「巷」がどうかしているのかもしれないが…。

個人的に、Amazonのレビューで4.5以上にハズレはないと思うので、きっと意味のある本なのだろう。

 

タイトルでご興味を持たれた方は、当該書籍のAmazonレビューとか、著者のtweetなんかを見ていただければと思うが、筋トレをすることで、仕事や人間関係などの人生の悩みが解決した、というものである。

 

ネット上のコメントにもあったが、職場で嫌な上司がいても、「最後は力任せで排除できる」と心の中で思えるだけで、随分と楽になった、ということだそうである。

大変に不穏当であるが、仕事をしながら武術を続けてきた小生としては、言わんとすることはわからないでもない。

 

実際に力任せな解決をすることはないとしても、それが安心や自信につながり、精神の安定や身体の健康、そして良い仕事として反映されるのであれば、悪いことは何もないわけで。

筋トレに限らず、心の拠り所になる何かを持っているのは、仕事外であっても大事なことである。

 

というより、仕事で自信なさげな人ほど、仕事外での拠り所もないような気がするのだが、いかがだろうか?

まぁ、ご参考ということで。

 

転職エージェントも含めたマッチングビジネスと、自分のキャリアを何処まで第三者に預けるか、という話 その7

今日は、双方代理の功罪について、だ。

双方代理というのは、M&Aや不動産の世界で出てくることが多い概念だが、一人のプレイヤーが、売り手と買い手の代理人を同時に勤める状態を指す。

 

M&Aの世界では、日本の中では良くあるし(業界最大手がそうだ)、不動産も仲介業務は双方代理であることが多いのだが、M&Aについて言うと、グローバルでは双方代理はあまり一般的ではないと認識している。

何故なら単純な話、利益相反の誹りを免れ得ないからだ。

 

売り手と買い手の利害は相反する。

片方はより高く、片方はより安く、と考えている中で、どちらかの代理人であれば、そのどちらかの意向を受けて代理すれば良いものの、双方の代理というのは、「お前どっちの味方なんだよ?」という状態が構造的に存在するということだ。

 

これが、罪の面である。

一方で、功は何か?

 

個人的な意見だが、昨日のふわっとしたニーズの話が代表で、皆が皆、代理人に取引を委任できるほど、はっきりと自分の意思を持っているとは限らない。

しかし潜在的には、厳然と取引の意向がある中で、売り手と買い手の双方のニーズを理解した代理人が、ふわっとした話をまとめ切ることで、そのままでは成立しなかったビジネスを成り立たせることができる、ということがあると思う。

 

もちろん、本来は成立すべきでなかったディールまで、力のある代理人がまとめてしまい、関係者が不幸になるという事故のリスクもあるのだが、確率論的には取引が成立することのベネフィットの方が大きいのではないだろうか。

転職エージェントについていうと、「片手と両手(両面)」なんていう言い方をして、一人が企業もしくは転職者だけの担当をするか、両方担当するか、という状態を表すのだが、一つの法人として、企業と転職者の担当をしているので、双方代理になる。

 

転職エージェントに相談をするときは、双方代理の功罪を、よく考えて臨むのが良いと思う。

特に、功の方で言及したものの、「本来成立すべきでなかったディールで不幸になるリスク」というのは、転職者がキャリアという取り返しのつかない要素を取引に晒している以上、慎重に見極めるべきだろう。

 

シリーズが長くなってしまった。

まぁ、ご参考ということで。

 

 

転職エージェントも含めたマッチングビジネスと、自分のキャリアを何処まで第三者に預けるか、という話 その6

では、転職エージェントに、どのような「投げかけ」を行うのか?

前回の「相応しい転職者」像で考えると、 「この先ちょっとどうしたらいいのかなぁ」というところが、一番聞きたいところだろう。

 

もちろんそんな相談はケースバイケースだし、エージェントも答えを持っているとは限らないし、自分の人生なのだから、自分で決めるべき、というのが大前提なのだが。

しかしそこは相談のテクニックがあって、論点を整理して相談するのが良いと思う。

 

エージェントに相談できるのは、

・今の市場動向

・類似キャリアの年収水準

・類似キャリアの「よくあるキャリア展開」

・「転職べからず集」的な知識

 

あたりで、

逆に、エージェントに相談してもしょうがないのは、

 

・自分はどうしたいのか、という指向性

・何を善とし、何を悪とするのか、という価値観

・キャリアの問題と関係ない人生相談(意外と居る)

 

であろう。

大抵のエージェントは、人の役に立ちたいと思っているし、転職という人生の特殊な状況に寄り添うプロなので、経験豊富で殆どの相談に付き合ってくれると思うが、そこはそれ、節度を持った方が、お互いのためだろう。

 

その限りで、ご自身の望む限り、広めに相談して見て良いのだと思っている。

シリーズが長くなってしまったが、「双方代理」という論点についてだけ、コメントしておきたい。

 

続きます。

転職エージェントも含めたマッチングビジネスと、自分のキャリアを何処まで第三者に預けるか、という話 その5

ということで、転職エージェントを含めた「マッチングビジネス」を成立させる要件を、三点に整理した。

では、転職を考えている人で、エージェント等の第三者に相談をするのが相応しいのはどんな人で、どんな「投げかけ」するのが良いのだろうか?

 

改めて要件を整理すると、①「取引のインパクト」が大きいこと、②「情報収集のコスト」が大きいこと、③「購買決定要因が曖昧であること」、と述べた。

それを転職者の位相で捉えると、

①「取引のインパクト」が大きいこと

→大抵の転職活動は、人生を左右する決断になるので、「取引のインパクト」は大きい。

そういう意味では、皆エージェントに相談する価値はあると思うが、例えばバイトから正社員になるとか、超ブラック企業から逃げ出すとか、失うものが無いステータスの人は、「取引のインパクト」は大きくないので、エージェントに相談する必要は無いのかもしれない。

 

②「情報収集のコスト」が大きいこと

重要なのは「深さ」と申し上げたが、端的に表現するなら、ポジションやミッションが重い転職であれば、「浅い」情報では進むか留まるかの判断は出来ない。

いわゆる「プレイヤー」「Job型」のポジションであれば、ネットや求人票レベルの情報で判断がつくので、相応のポジションの転職者の方が、エージェントを利用すると良いシーンが多くなるのではないだろうか。

 

③「購買決定要因が曖昧であること」

一般的には多くないが、キャリアビジョンがクリアな人は、そのキャリア構築に向けて自ら動いていくだけなので、少なくともエージェントに対して「相談」という格好にはならないと思う。

自分のキャリアストーリーに資する案件があるかないか、という限りでお付き合いすることになるだろう。

 

ということで、「もう絶対に辞めてやる」と言う程ではない勤務状況で、「ぺーぺー」と言う程でもないポジションにあり、「この先ちょっとどうしたらいいのかなぁ」というステータスの方が、エージェントとやり取りをするのに向いている、ということになるかもしれない。

もちろん、それ以外の方だって、エージェントを使っていいと思うし、こんなステータスの人でも、エージェントが応えきれないことはあるのだが。

 

その上で、どんな「投げかけ」をするのか、ということに関しては、また次回としたい。

続きます。

 

転職エージェントも含めたマッチングビジネスと、自分のキャリアを何処まで第三者に預けるか、という話 その4

「マッチングビジネス」を成立させる要件として、あまり論点にならないが、個人的に重要ではないかと思っているのが、「購買決定要因が曖昧である」ということではないだろうか。

「何を」「いくらで」買いたい、もしくは、「何を」「いくらで」「誰に」売りたいというのがクリアであれば、間に誰かが入る余地は少ない。

 

だって、その相手を探してきて話をすればいいだけなのだから。

介在者が存在する例として、不動産を引き合いに出したが、殆どの人が、不動産を買い慣れているわけではないので、実は「何を」「いくらで」は、曖昧なのである。

 

そこを、介在者が具体的な物件を引き合いに出しながら、購買決定要因を明確にしていくことが求められる。

なぜなら、一見、購買決定要因がクリアなようでも、魅力的な商品が提示されれば、一気に気持ちが傾くのが人間というもの。

 

なので、何となくの嗜好ではなく、絶対に動かない購買決定要因が有るのか無いのか、そこを明確にしなければ取引は成立しないし、「マッチングビジネス」の成立要件の重要なポイントだと思うのだ。

さて、「マッチングビジネス」を成立させる要件のまとめだ。

 

①「取引のインパクト」が大きいこと

失敗しても良いのであれば、わざわざ関係者を増やす必要はない。

 

②「情報収集のコスト」が大きいこと

深い情報を簡単には得られない時、介在者が存在する意義がある。

 

③購買決定要因が曖昧であること

真の購買決定要因は何か、そこが見えているようで実は曖昧なのであれば、誰かが調整しなければ、取引は進まない。

 

どうだろう、少なくとも転職エージェントが存在する余地は、領域に応じてありそうだし、何を相談すべきかも見えてきたのでは無いだろうか。

続きます。

転職エージェントも含めたマッチングビジネスと、自分のキャリアを何処まで第三者に預けるか、という話 その3

もう一つ、「マッチングビジネスとビジネス」が成立する要件として、情報収集のコスト、というのがあると思う。

目の前のものを取り敢えず買っても、そう大きな問題にならないのであれば、深く検討はしないが、「取引のインパクト」が大きい場合、出来る限り意思決定のために比較検討をするための情報を収集したい。

 

その際、売り手と買い手がそれぞれ単独で情報収集するより、「広く」「深く」「手間なく」取得することができれば(単独で情報収集するとコストがかさむのであれば)、介在者が存在する意義がある。

ここはエージェントビジネスの存在意義にも関わると思うのだが、「広く」だけであれば、インターネットでどうとでも取得出来る。

 

大事なのは、「深く」と「手間なく」だ。

「手間なく」は、本人が求めている情報を複雑な手順なしに、と考えるなら、いずれ人工知能などのテクノロジーで可能になる話かもしれない。

 

「深く」というのは、インサイドの情報という意味もあるし、検索軸で切りにくい感性領域の情報が大事な場合は、様々な角度での情報収集をしなければならないため、介在者が活躍する余地がある。

まだまだ続きます。

転職エージェントも含めたマッチングビジネスと、自分のキャリアを何処まで第三者に預けるか、という話 その2

さて、「マッチングビジネス」が成立する要件である。

先ず話の整理として、介在者が存在しない取引を認識した上で、介在者が存在できる要件を探りたい。

 

田舎道を歩いていて、畑に美味しそうなキャベツが出荷を待っているのを目にした。

そこにいた生産者に話をしたら、百円で良いと言われたので、その場で買うことにした。

 

これが、介在者が存在しない、直接取引のビジネスである。

そして、介在者が存在するビジネスとして、不動産取引を考えてみる。

 

結婚することになったので、手の届く金額の中古マンションが良いかなと思って、近所の不動産屋に入った。

不動産屋にあれこれ物件を見せてもらい、ある物件を買うことに決めた。

 

表記を揃えると、こんな感じだろう。

ここで、介在者が存在しないビジネスの特徴としてありそうなのが、

・金額が大きくない

・取引の意思決定のプロセスが単純

・(「プロセスが単純」ということの背景でもあるが)取引に失敗した時の損失が限定的

というのが考えられる。

 

一つの表現にまとめてしまうと、「取引のインパクト」が大きいかどうか、とも言えると思う。

インパクトというのは、コストだったりリスクだったりが、当事者にとって大きいということだ。

 

つまり、「マッチングビジネス」が成立するする要件というのは「取引のインパクト」が大きい場合に成立する、ということが言えると思う。

続きます。